昨日、私が毎週月曜日に外来を行っている熊谷の病院に行った時に、一通の手紙を受け取った。

 

月に1回熊谷の隣の行田市の整形外科クリニックでリウマチ膠原病内科外来を行っている新潟の先生からだった。

 

その先生は私達の世界では知らない人はいない、超ご高名なリウマチ膠原病領域においてはエキスパート中のエキスパートの名医であり、私もとても尊敬しております。

 

お手紙の内容を話す前に、少しだけ背景を話す。

 

 

その先生が月に1回そこで外来を行うようになった時、そこで使用出来るリウマチの治療薬はリマチルという、効く人もいますが、現在多くの方に使用されているメトトレキサートや生物学的製剤などに比べれば治療効果の弱い薬剤しか使用出来なかったみたいです。

 

しかし、メトトレキサートや生物学的製剤は免疫抑制作用を持つために、肺炎などには注意が必要です。

 

リスクの高い患者さんは避けることも出来ますが、どうしてもリウマチをコントロール出来ない場合には、リスクを有する患者さんに対してもこれらの治療を注意して行わざるを得ない場合がありますし、仮にリスクが低くても肺炎を完全に防ぐことは出来ません。

 

しかし、私がこのブログでも著書でも述べてきましたように、現時点でも埼玉北部にはリウマチ膠原病内科医が常勤医として24時間365日常駐する病院は存在しません。

 

そのため、最近は改善してきたとは思っていますが、発熱や呼吸器症状があっても「リウマチの患者さんは診られない」と受診を拒否されるケースもあったと聞きます。

 

そのような医療体制の中でリスクを伴う治療を行うことは危険なのですが、治療を行わないことによる関節破壊のリスクを考えれば、医療体制を確立する必要があったのです。

 

そこで、その先生がよく知っている、近隣の大病院の呼吸器内科の先生と相談して、もし患者さんが発熱や呼吸器症状など、肺炎を疑わせる症状を発症した場合は、必ず対応するということとなり、その条件で免疫抑制療法を行ってきました。

 

 

しかし、その病院がコロナの影響で病床が逼迫している状態から脱することが出来ず、新患を受け入れることが難しくなったのです。

 

 

そのため、今後リウマチの患者さんで新規で免疫抑制療法をクリニックで導入することが困難となってしまいました。

 

そこで、今後その先生のクリニックに受診されたリウマチの患者さんで、免疫抑制療法が必要そうな患者さんを紹介しても大丈夫か?という趣旨の内容でした。

 

 

私とその先生と初めてお会いしたのが留学する少し前で、その先生の講演会の前座で発表し、会の後もしばらく時間を共にしました。

 

その後2-3回挨拶に伺ったのだが、こんな短い時間であったにも関わらず、私のことを覚えて頂いただけでも感激でした。

 

もちろん、私はすぐに快諾し、メールで返信しました。

 

 

もともと先生の外来に通院している患者さんはそのまま診療を継続されるみたいですので、もしその患者さんに不測の事態が生じた場合に備えて、私の外来をやっている病院の院長と、私がよく知っているその近くの大病院の副院長には事情をお伝えし、もしもの時は対応していただくようお願いしました。

 

 

このコロナ禍において、全国的にこのような事態が起こっているものと思います。

 

 

そもそも医療体制な不十分な中でリウマチ膠原病診療が行われている現状はあったと思いますが、コロナ禍によりさらにその連携が厳しいものとなっているものと思います。

 

 

しかし、患者さんに不利益があってはなりません。

 

 

今回はその先生の卓越したご判断により、私の元に相談が来て、そこで新たな連携が産まれました。

 

 

特に東京都内では、恐らく今でも患者さんの受け入れが困難な状況が続いているものと思います。

 

埼玉に関して言えば、私が拠点を置く北西部は今に始まったことではありませんが、だからこそ以前から医療連携の重要性について言い続けているのです。

 

 

コロナ禍だからこそ医療連携に目を向けて、無理なものは無理ではなく、うまく協力し合いながら苦境を打破出来ればと思います。