先日、患者さんから質問されました。
「先生はどうやって感染しないように気をつけているのですか?」と。
これについてですが、実は私は「当たり前レベル」のことしかやっていません。
しかし、その「当たり前レベル」というのはどういうものか、もしかしたら国民は十分に理解されていないのでは?と感じています。
本当にこれから紹介する「当たり前レベル」の感染対策でよいのか?という問題はあるかもしれませんが、ここまでの感染の動向などから、それほど的外れではないものと考えておりますので、参考になればと思います。
まずは基本中の基本は「手洗い」です。
石けんでの手洗いもそうですが、アルコール消毒も重要です。
アルコール消毒も、今後在庫が厳しくなる可能性はありますが、現状ではとりあえずは私の手元には必要な分はあります。
ただ、アルコール消毒が常に出来ない状態であれば、石けんでの手洗いでもかなり感染対策になります。
そして大事なことは、「適切な手順で行うこと」です。
その「適切な手順」については、以前から厚生労働省で紹介されております。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf
実は当院では朝の看護師さんのミーティングで、何年も前から毎日毎日この手洗いの手順をみんなで実践しております。
当科の医師は看護師さんの朝のミーティングに参加することが義務づけられておりますので、そこで一緒に毎日実践しております。
そして、いつ手洗いを行うかについてですが、看護師さんはこの5つのタイミングで行うことが推奨されているようです。
1.患者に触れる前
2.清潔・無菌操作の前
3.体液に曝露された可能性のある場合
4.患者に触れた後
5.患者周辺の物品に触れた後
私がなぜこれを知っているかというと、これも朝のミーティングで毎日看護師さんが読み上げているからです。
つまり、人に触れる前に手洗いを行うことで、感染を広げることを防ぎ、人に触れたら手洗いをするということです。
それは物に触れた時も同様です。
しかし、日常生活において、常に手洗いを行うことは困難かもしれません。
なので、このように物に触れた後は、手洗いを行い手指が清潔になる前には、可能な限り顔まわりを触らないようにすることも、感染対策としては重要だと思います。
これが手洗いの話。
次に大事なことは、「人との距離」です。
これについては最近は「ソーシャルディスタンス」という表現が用いられています。
その距離は2mくらいとされています。
これについては今となってはご存じの方が多いと思います。
ただ、これについて以外と大事な点があります。
それは「対面での接触を可能な限り避ける」ことです。
これについて、特に気をつけなければならないのが「人との食事」です。
マスクがこんなに売れている現状にあり、お互いのマスク着用について、ここでは特には言いません。
食事の時、普通は対面になり、会話を行いますが、その時は通常マスクを外します。
そのため、万が一相手が新型コロナに感染していた場合、そこで感染するリスクが非常に高くなります。
なので、3月に入ったあたりから、私は人と食事には一切行っていません。
最近はうちの医局でも昼食を摂るタイミングをチームに分けてずらす試みを行っています。
そして、会議なども多くは中止となり、どうしても必要な会議は、可能な限り広い空間で、換気を十分に行いながら、必要最低限の人数で、人と人とが対面にならないように、お互いの距離を保って行っています。
つまり「三密」を避けているということです。
今更ですが、「三密」とは「密閉空間」「密集場所」「密接場面」です。
これについては、私達は相当徹底してやっています。
実際に新型コロナは飲食店などでクラスターを形成することが非常に多いです。
会議などもその最たるもの。
最近は朝のミーティングも三密を避けられる場所で行うようにし、カンファレンスや回診も最低限の人数で距離を置いてやっています。
多分、これが一番うまく世間に浸透出来ていないことではないかと個人的には予想しております。
そして、これはもうさすがに周知のことだと信じていますが、一応言いますと「不要不急の外出を控えること」です。
私は人が全然いない環境で近所を散歩することは、悪いことではないと思っています。
不要不急の外出の先は、往々にして「三密」が揃っている場所だったりすることが多いのです。
そこは是非自分の行動を見直してみる必要があると思います。
最後に、これが個人的には一番重要だと思っていること。
それは「全ての人がコロナに感染していると考える」ことです。
今はそう考えてよいと思っています。
確かに、典型的には熱や呼吸器症状はあります。
しかし、実際には症状発現前にクラスターを形成した報告もあります。
そんなことを言ったら生活出来ないではないかと思われるかもしれませんが、上記のことを注意すれば、発症する確率は相当に下げられるものと思います。
過度に神経質になる必要はありません。
世間で言われているような「当たり前レベル」のことを実践することからです。
その当たり前レベルがちゃんと実践出来ていない場合に感染することが多いことは明らかに思っています。
前回記事に書いたリウマチ膠原病患者さんが以前から実践していたことは、こういうことなのだと思います。
最近は検査を行う行わないなどの議論で盛り上がっているようですが、それよりもまずは感染対策を徹底して、現在置かれている状況に応じて適切に振る舞うことからではないかと思います。