とんでもなく久々の更新となってしましました(汗)

 

4月に入り病棟チームのトップになって、病棟業務の負担が減ると思いきや、結局他の仕事が増えてしまい、なかなか余裕がありませんでした。

 

もっとも、特別増えたという訳ではなく、今の忙しさそのままに、それに加えて病棟業務を行っていたので、今までが異常だったと思います。

 

少なくとも6月半ばまではちょっと忙しい日々が続くものと思いますが、それ以降暇になる保証もないのが怖いところです。

 

まあ、そうは言うものの、今行っている仕事は全てやりがいを感じていますので、特に問題はないのですが。

 

 

そんな中、私の職場は「働き方改革」をまさに行おうとしている真っ只中です。

 

研修医時代や入局して数年は、仕事を早く終わらせて早く帰る、なんて言うことはあり得ない時代でした。

 

今は医者の労働内容については全国的に大きく見直されようとしている所です。

 

しかし、実際に患者さんは多いし、患者さんが来たら重症であろうと当然診なければならないし、なかなかスムーズに精神的にも肉体的にも落ち着かせることは困難です。

 

そんな中、私の中でいくつか改善すべき点は分かっているおり、それについてはどこかで書こうと思うのですが、今日は序章として、そのヒントとなる私の留学先の現状について書こうと思います。

 

 

私が留学していたオハイオ州立大学には入院施設を整えた非常に大きな病院があります。

 

しかし、驚いたことに、そこには外来はありません。

 

外来は車で20分くらいの別の場所にあります。

 

さらに驚いたことに、その病院にはリウマチ膠原病の患者さんは入院しているのですが、リウマチ膠原病の常勤医はいません。

 

では、リウマチ膠原病で入院している患者さんは誰が管理しているのでしょうか?

 

それは「ホスピタリスト」と呼ばれる病棟業務を専門とした医師です。

 

ホスピタリストは入院患者さんのマネージメント全般を行います。

 

看護師さんへの指示、検査のオーダー、処方、患者さんの症状への初期対応など。

 

このホスピタリストの方に専門はありません。

 

専門は病棟業務全般です。

 

なので、全ての内科領域の主治医となるのです。

 

しかし、専門性がないため、患者さんの主疾患に対する加療は行うことが出来ません。

 

そこで、ホスピタリストの先生がリウマチ膠原病の専門医にコンサルトするのです。

 

リウマチ膠原病の専門医は常勤医ではありません。

 

1ヶ月周期の交代制で病棟業務の担当となるのです。

 

病棟担当となるのは年に1-2ヶ月のみです。

 

あとは全て外来です。

 

この病棟業務のことを「サービス」と呼んでいました。

 

さらに驚いたことに、この「サービス」の担当となった月には外来業務は行わないらしいのです。

 

コンサルトを受けたリウマチ膠原病の専門医は必ず毎日診療にあたります。

 

しかし、検査のオーダーや処方、指示などは基本的には行いません。

 

それはホスピタリストの役割であり、リウマチ膠原病の専門医は、データをチェックして回診してカルテを書くだけです。

 

そして、リウマチ膠原病以外の問題についてはほとんど関わることはありません。

 

別の領域は別の専門医が毎日診療にあたっています。

 

その専門医に問題があった場合は路頭に迷う恐れはありますが、その一方で他科との距離は非常に近く、形式的な他科コンサルトの依頼文や相手を忖度した変なご作法などなく、廊下で気軽にディスカッションするような感じでした。

 

 

これが私の留学先で行われた専門医の病棟業務です。

 

また、外来については日本より遥かに患者さんが少なく、1人に当てる時間は十分にありました。

 

そして外来が終わったらその日の仕事は終わりです。

 

 

ちなみに、私が外来見学した時にすぐに入院させないといけない患者さんがいたのですが、外来医はカルテだけ書いて、あとは事務に病院の方に「これから入院させる患者さんを連れて行く」の一言だけで、紹介状も作成せずにそのまま送られいました。

 

紹介状は書かなくていいのか?と質問した所、向こうの先生(ホスピタリスト)はこちらのカルテを見ることが出来るから、そんなものは書く必要はないと。

 

 

いかがでしょうか?

 

少なくとも私が出会ったリウマチ膠原病専門医の方達は全く疲れている様子はありませんでした。

 

これで済むなら疲れる訳がありません。

 

 

ここで行われていた医療が理想的か?と聞かれればおそらく違うと思います。

 

長くなるので今回は書きませんが、治療成績に関しては日本の方が上だと思っています。

 

日本の医療は高い質を保つために本当に努力していると思います。

 

ただ、そのために医療者が疲弊しております。

 

全く疲弊することなく清々しく仕事を続けてきている医者は見たことがありません。

 

必ずどこかで疲弊しております。

 

 

私の留学先のようになれとは言いませんが、もし今の医療現場の実情について問題提起するのであれば、私の留学先のような現状を知ることは、もしかしたら解決策のヒントとなるのではないかと思います。

 

少なくとも私はこの留学先での経験を元に、自分なりに働き方を見直すことが出来たと思っています。