最近、私はある患者さんに癌告知をしました。

 

リウマチ膠原病内科医は通常癌診療には直接関わらないため、癌告知するこはあまりないのですが、取った組織の結果がレポートに出ていることと、専門家に紹介する必要があったため、癌を告知する必要があったわけです。

 

かつては癌を告知すべきかどうかということがよく問題となっていたようです。

 

おそらく今は告知することが大前提なのではないかと私自身は認識していましたが、本当のところはどうなのだろうか?

 

と思ったのは、今回の件は少し安易に告知しすぎてしまったかなあと、後になって思ったからです。

 

まだ若い方でしたし、治療の手立てはあることは知っていましたし、本人の性格からおそらく前向きに考えてくれるだろうと思っていまし、結果的には本人は前向きには考えているような感じでしたが、家族が想像以上にショックを受けていた様子でしたので。

 

告知の時には師長さんも同席していたのですが、後から私に「ちょっと唐突に告知しすぎなんじゃない?」と言われた始末でしたから。

 

 

ただ、本当に余命宣告しなければならないような病状であったとしても、本人に告知しないということが今はあり得るのであろうか?

 

終末期医療の現状を私はあまり知らないこともあり、ふと疑問に思ったのです。

 

何も知らずにどんどん体が弱っていくことは患者さん自身は絶対に気付くはずですし、病状を聞いて最初はショックを受けるものの、そこから葛藤を超えて受容していかなければ、本人は訳が分からないまま辛い余生を送るだけになってしまうように思うのだが、本当のところはどうなのだろうか?

 

 

このようなことを思ったのは、少なくとも私達リウマチ膠原病領域においては、いかなる病態であっても、本人に病状を話さないことはあり得ないからです。

 

ちょうど時を同じくして、私は別の患者さんで、生命に関わる可能性の高い重症の膠原病の一種であり、強力な治療が必要であることを、非常に厳しい内容を含めてすべて赤裸々に話をしたばかりでした。

 

リウマチ膠原病の場合は病状について正確に理解することが、今後闘病していく上で絶対に必要だと私は強く思っておりますので、私は嫌な話を含めすべてを話す習慣に慣れてしまっていました。

 

 

ただ、癌の場合はおそらく未だに助からない病気というイメージを持たれているものと思います。

 

その一方で、最近は余命宣告された有名人が前向きに治療を受けて生きている姿も報道されるようになっています。

 

 

癌告知に対する世間の認識と現状は今はどうなっているのでしょうか?

 

普段から癌に関わらないだけに、本来であれば医者であれば常識と言えることではあるのだが、ふと疑問に思った今日この頃でした。