これはこの前の土曜日の夜に当直した、300床あるとある急性期の大病院でのことです。
その病院で、私は内科医として1人で当直していました。
そんな中、呼吸不全の救急要請の連絡がありました。
内容から非常に呼吸状態が悪いことが予想され、正直私1人での対応は困難であったものの、もともとかかりつけで入院歴もあり、家族の強い希望もあったので、断ることは出来ませんでした。
もし断った場合、このレベルの重症患者を受け入れられる病院が、この周辺には非常に少ないことを私はよく知っていました。
実際に受けた所、案の定非常に呼吸状態が悪く、重症の心不全の状態であり、すぐに人工呼吸器管理となりました。
このような場合、いつ何時急変するか分からない状態であったため、私がその場を離れることは到底出来る状態ではありませんでした。
そんな中でバタバタしている中、病棟から次々と私のPHSに電話がかかってきました。
それぞれ3つの違う病棟から、意識障害、嘔吐、発熱のコールです。
救急外来から遥かに離れた場所にある病棟に、このような状況で行ける訳がありません。
私は電話でとにかく検査の指示を出して時間稼ぎをしました。
私が患者さんを診察出来たのはコールを受けた約1.5-2時間後です。
幸いこれらの患者さんはそれほど大きな問題はありませんでした。
しかし、この病院は超重症患者が入院している急性期病院で、高齢者も多く、バイタルが変動したり、最悪心肺停止など急変することは決して珍しくない病院なのです。
しかも、一応2次救急とは言え、内科に関しては心臓カテーテルは出来ないものの、頭部MRIも撮影可能でICUも備えているため、内科に関しては明らかに心筋梗塞と思われる方を除いて、いかなる重症も受けることが使命となっています(特にかかりつけの場合は必須)。
もちろん、このような救急対応をしている時には他の急患を断ることが出来、実際にこのときは2件搬送を断りました(両者ともかかりつけではなかった)。
それを私たった一人で対応。
そんなの不可能です!
それは私は以前からずっと言い続けていました。
一段落した時に私は看護師さんに愚痴を言った所、実はこの前の1月2日に私の後輩が1人で当直した時、大量のインフルエンザ患者さんを抱えながら、病棟の患者さんが急変したために、1人でメチャクチャな対応を迫られたことがあったことをききました。
それをみてその看護師さんは病院の幹部にこの体制が問題であることを伝えたみたいですが、全く聞く耳を持たなかったらしいです。
それで頭に来たので、私はこの当直日誌に文句を書いた訳です。
これが地域医療の現状です。
おそらくもっと悲惨な環境は日本にはたくさんあると思います。
そんな所で働きたいですか?
働きたい訳がないです!!!
私も正直埼玉でやっていくのがキツくなり、離れることが出来れば離れたいと思ったことはよくありましたが、残念ながら今は離れられる状況ではありません。
もう過酷な経験をしすぎて嫌な気持ちも通り越してしまいましたので、私は今の所は埼玉でこれからもやっていく覚悟は決めています。
結局、根底にあるのは「人手不足」なのです。
こんな私の話を聞いたら余計地域医療なんてやりたくなくなってしまうかもしれませんが、ここは敢えて問題提起が大事だと思っています。
実はこの病院の当直は他の病院の当直に比べると給料は多少いいのですが、やりたがる人は誰もいません。
いくらお金がもらえても、探せばもっと待遇がよくて楽な所はたくさんあります。
人手不足を解消するには人が集まらなければなりません。
それは国が十分に理解しなければならないのだが、その対策が、残業時間上限の拡大。
呆れて物が言えません。
それはイコール残業2000時間を必要とする現場、ということです。
しかも労働時間だけでなく、人手不足のため悲惨な労働環境を強いられる。
これでいいのでしょうか?
いいわけがありません!
今は正直に語るべきだと考え、あえて実態を明かしましたが、地域医療の現状を知る者として、これが将来的にはいい方向に向かうことを願ってやみません。