東京医大が女子の受験生に対して減点していた問題については、非常に大きなニュースになっているので、皆さんよくご存じかと思います。

 

東京医大は2浪、3浪の時の私の第一志望。

 

あの時、本当に心から憧れた場所を舞台とした一連の騒動。

 

あまりあの時のことは思い出さないようにしていたのですが、今回のことでもう20年近く前のこととは言え、思い出すとやはり悔しさはあります。

 

ただ、その一方で結果的には別の大学に合格し、だからこそ今があるのであり、あの時東京医大に合格していたら全く違う人生だったとは思いますが、これも人生です。

 

 

それはいいのですが、今回の騒動によって私も色々と思うところはあります。

 

それは、医者の仕事が本当に女性に不向きなのか?ということ。

 

今回の件について東京医大によれば、女医は離職率が高く、労働のきつい外科系やへき地医療に従事することを拒んだりと、労働力として問題があるという趣旨のことを述べているようです。

 

実はこれについてですが、女性差別云々以前に根本的な問題があるのです。

 

それは、「医者の労働がきつい」ことが前提であるということです。

 

医療は国民の人生に大きく影響を及ぼし、医者はその中でも非常に重要な責務がある中で、十分な数と質を確保することが必要不可欠です。

 

そのために必要と判断されているのが、現在の医学部の入学者数と男女比ということのようですが、果たしてこれは適正なのでしょうか。

 

単純に「労働力」という観点で言えば、男の方が動けるようにも思われるかもしれませんが、実際には男の方が不真面目だったり、勉強ができなかったり、要領が悪かったり、その一方で女性の方がその辺について優れている場合も多々あります。

 

また、男の方が今でもどちらかといえば根性論で強引にやっていこうとする中で、女性の方が物事を合理的に考えて自分にあった職場環境を追及すべく、アイディアを模索するように思います。

 

そう考えると、女性が多くいる方がいい方向に動く可能性もあるのです。

 

また、女医の離職率が高いということですが、実際には男であってもメンタルをやられて休職した奴は何人も知っています。

 

だから、一概には言えないのです。

 

 

そして、色々書きましたが、やはり問題なのは現在の医者の労働環境です。

 

実際に働いていて思うのは、本当に理不尽で無駄な仕事が多いということです。

 

病棟業務に関して言えば、患者さんを診察をし、それぞれの患者さんのことを考え治療方針を考えカルテを書くだけなら、そんなに時間はかからないし、仕事としては楽です。

 

ただ、少なくともうちの大学病院は検査のオーダーと指示はすべて医者が電子カルテ上で操作します。

 

これが本当に無駄な作業です。

 

紙に書いて伝われば数秒で終わる作業を、何分もかけて医者がやっているわけです。

 

病棟業務の9割がこれです。

 

また、よく話題になる当直明け問題なのですが、実際に医者が当直明けに帰ることが出来ることはほとんどありません。

 

なぜなら、当直明けに代わりにやれる医者がいないからです。

 

とは言っても、私も含めてこの状況に対して何とか頑張って乗り切ろうとしてしまいます。

 

これが男の悪い癖です。

 

この辺の解決策については、たぶん女医ばかりの環境だった場合、いい案を思いついて協力しあってやっていくことと思います。

 

結局男中心の職場だと、無茶な労働環境でも改善しようとせずに、解決策として単純に労働力を増やすことくらいしかしないのです。

 

その結果、女性から余計に避けられて、結果的には労働環境としてはマイナスになるのではないかと思います。

 

そのため、最近では男女共同参画として職場環境を見直す動きも多くありますが、女医の数が少ないことがやはりネックになるのです。

 

 

この東京医大の問題から医者の労働環境が見直されるきっかけになればと願っています。