外来において、多くの医者がとても対応に苦労しているのが、「不定愁訴」の患者さんだと思います。
 
「不定愁訴」とは、その場では明確な原因がハッキリとしない複数の症状を訴えることです。
 
もちろん、これらを紐解くと、原因が分かることもあるのですが、緊急性や病的根拠が乏しい複数の症状を色々と訴えられると、医者としては原因が分からない上に、問題ないと言われてもなかなか分かってくれないことから、医者と患者さんの間に大きなすれ違いが生じる原因となります。
 
これは決して患者さんが悪い訳ではなく、患者さんが本当に感じている症状に対して、医者がちゃんと向き合わないのが悪いのです。
 
それによって、結果的には病気を見落とす原因にもなりますので、この「不定愁訴」に対してどう対応すべきかは、全ての医療者が十分に理解しないといけないことだと思います。
 
 
そこで、実はここから書く内容は、前のブログに数年前に書いたことがある内容ですが、その時のことを覚えている人は、そんなにもいないと思いますので、また書こうと思います。
 
その答えがこちら。
 
 
{82042A27-6FC8-4673-99B3-2AA0EA4B3D5E}
 
このツイートもかなりの反響です。
 
見てみると、医者のリツイートやいいねも相当ありますので、結構目から鱗の事実だったかもしれません。
 
 
不定愁訴に限らず、明らかに診断された病気による症状であっても、全ての患者さんにとって一番嫌なのは、「話しを切られること」だと思います。
 
おそらくほとんどの患者さんが持っている、医者に対する大きな不満の一つだと思います。
 
これについては、決して医者をかばうつもりはないのですが、多少弁明させていただくと、外来の場合はどうしても待っている患者さんのことが気になってしまい、話しが長くなりそうな時は、切りたくなってしまうのです。
 
実は、そこに医者が大きく誤解していることがあるのです。
 
これは医者でないと分からない感覚なのですが、患者さんと接している時間は、医者にとっては非常に長く感じるものです。
 
患者さんにとっては3分しか診てもらえなかったと思っても、医者にとっては10分以上接したような錯覚を起こしているものです。
 
おそらく10秒で話しを切る先生にとっては、もう3分くらい話しを聞かされたような感覚だと思います。
 
これは、外来をやっている人間にしか分からない、何とも不可解な感覚です。
 
よくよく考えて見れば、2分間とにかく自分が今感じている症状を言い続けろと言われると、言いたくてもこれはとても大変なことです。
 
私の経験では、あくまで「身体症状」に関してではありますが、どんなに訴えの多い人でも、こちらが何も誘導せずに黙って聞いていると、30秒と持ちません。
 
長くて1分でしょうか。
 
1分以上はかなり稀です。
 
体の部位も症状の種類も、1分以上語れるほど沢山はないはずですので。
 
メンタルに関した症状に関してはもっと長くなると思いますが、精神科の先生もこのやり方を基本としてやっているようです。
 
 
そこで、ツイートしたように、とにかく最初は訴えを黙って聞いて、言いたいことを言い尽くしたその瞬間に、一気にこちらのペースに持って行き、これらの症状に対してどうすべきかについて説明し、方針を決める訳です。
 
この方法はとても理にかなっており、患者さんの言いたいことを全てはき出し、なおかつ医者もちゃんと聞いて、それに対して対応も決めることも出来るため、患者さん自身も満足していただけるだけでなく、診療時間も結果的には短縮出来るのです。
 
 
先日記事にも書いた「病気の見落とし」を防ぐことも含めて、このやり方は是非多くの医者に実践してもらいたいと思っております。