たまに外来に、「癌が心配なので調べて欲しい」という目的で受診される方がいらっしゃります。

 

もっとも、全く何一つ症状がなく受診される方は稀なのですが、例えば何かしらの症状が出現した時、その症状は癌から来るものではないかと心配するパターンです。

 

いずれにしても、症状あるなしに関わらず、律儀にも正直に癌を心配している旨を話してくれます。

 

これは実は非常によろしくないのです。

 

なぜなら、病院で行われる医療は、保険診療の下で行われるべきものですから。

 

病院での医療は、何かの症状に対して、それに応じた検査を医者が判断して行うものです。

 

その症状が癌を強く疑うものであれば、その精査は行いますし、それはこちらが判断するものです。

 

逆に癌を疑わせる所見でなければ、癌に関連した検査は行わずに様子を見ます。

 

医者がそう言っても、どうしても癌が心配だった場合。

 

その時は、癌検診を受けて下さい。

 

日本の医療において、癌を発見するために最も効率のいい方法は、検診でスクリーニングをして、疑われ初めて病院で精査を行う形です。

 

病院で検診と同じ項目を調べることは可能ですが、これは保険診療で認められていませんし、オーダーする外来医も非常に大変です。

 

では、なぜこういう患者さんは癌の精査を病院で受けたがるのでしょうか。

 

おそらくそのメインとなる理由は、安く済むからだと思います。

 

なぜ安くするか。

 

そう。保険診療だからです。

 

残りの医療費は国が負担しております。

 

日本の医療を崩壊させないためにも、そこはご理解頂きたいです。

 

 

私がなぜそこまで癌が心配なら検診を受けることを勧めるかというと、もしある医者がそれを病院でやることを許してしまうと、患者さんが病院でも出来ると思ってしまい、非常に厄介な話しになるからです。

 

検査のオーダーをするのは大変であっても、ごねる患者さんを説得するくらいなら、検査をやっちゃった方が楽という風に考える外来医は、少なくないと思います。

 

これは、私達の問題であり、改めなければなりません。

 

しかし、同時に一般市民の方々は、こういう事情を踏まえて欲しいと思いますし、日本の癌検診のシステムはよく出来ていると思いますので、値段は高くなりますが、癌が心配であれば癌検診を受けて下さい。