今日は、こちらの記事を参考に、医療関係者の「タメ口」について書こうと思います。
https://sirabee.com/2017/07/18/20161203924/
私は学生時代、医者の姿を見て、何でこんなに患者さんや看護師さんに対して「タメ口」を使うのか、疑問でした。
そして、研修医時代は、患者さんもコメディカルの方々も、畏れ多くてとても「タメ口」なんて出来ませんでした。
というより、「タメ口」で話さなければならない理由が、医者になっても理解出来なかったのです。
果たして自分は医者としてキャリアを積んだら「タメ口」でしゃべるようになってくるのか、逆に気になりました。
その結果ですが、今に至るまで私は患者さんやコメディカルに対して、「タメ口」でしゃべることは「原則」ありません。
ただ、「原則」と言ったのは、多少の例外はあるからです。
それでも、全体を通じて全て「タメ口」になることは、ほとんどありません。
ところで、なぜ医療関係者、特に医者や看護師は、患者さんに対して「タメ口」を使うかというと、おそらくそれは「対等な関係」であることを意識したいためだと思われます。
ただ、私はこれについては反対です。
なぜなら、日本の文化において、「タメ口」というのは、年齢で規定されるものであり、年配の人に対しての「タメ口」というのは、社会通念上あり得ないからです。
社会であり得ないことが、医療の現場においてまかり通るのは、おかしな話しです。
しかし、ちょっとここが難しい問題なのだが、医療の現場において、社会でまかり通るような「年功序列」の関係は、「対等な関係」を保つのに、悪影響を及ぼし得ます。
また、特に70歳以上の男の患者さんで、コメディカルに対して非常に見下した態度で接する患者さんは、珍しくありません。
さらに、「対等の関係」を意識するあまり、過度に礼儀正しく、ガチガチの敬語で、ペコペコするのも、よろしくありません。
そして、「対等な関係」であっても、先日記事に書きましたように、「適切な距離感」を保つことも重要になってきます。
以上から、一番いい方法は、年齢や立場は関係なく、気軽な感覚で会話しつつ、「緩い敬語」を使うことが、一番いい方法かと思います。
「緩い敬語」とは何かというと、簡単に言えば「丁寧語」をベースに、たまに「尊敬語」を使い、会話の流れにおいては、ごくわずかに「タメ口」を交える、という感じです。
「謙譲語」は多分全く使わない訳ではないでしょうが、「尊敬語」の方が「対等な関係」であり、なおかつ「患者中心の医療」を実現するには、適切なように思います。
イメージとしては、友達感覚で会話して、言葉だけ敬語、ということでしょうか。
その辺のバランス感覚がある先生は、いい先生だと思いますし、いい先生はこういうことを意識して患者さんと会話しているものと思います。
だから、私は研修医にたまに説教することがあるのですが、何のコンセプトもなく、何となく先輩の姿を見て雰囲気で患者さんに対して「タメ口」を使うのは、よくないことだと思っています。
この辺については、私達の世界で話題に上がることは、多分ほとんどないと思いますが、よりよい医師像を作り上げるにあたり、もっと議論されてもいいことだと思います。