2013年から2016年度の4年間で、医療事故などを繰り返す、いわゆる「リピーター医師」として27人が報告されたと、報道されました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170626-00000003-mai-soci
これを見てどう思われますでしょうか?
これは、あくまで(回数は不明だが)複数回、医師賠償責任保険にて保険金請求されたケース、つまり医療事故によって賠償金を請求されたケースに限ったことです。
そのようなことが複数回行われるなんてことは、よほど酷い医者じゃない限りあり得ないことであり、もはや論外のレベル。
実態把握は困難でしょうが、現実的にはこんなもんだと思います。
しかし、ではそうではない大半の医者が問題ないかといえば、決してそうではありません。
医療というのは非常に難しいものであり、「真の意味でのベストの医療」を行うことは、本当に困難なことであり、もちろん私も出てきているとは言えないと思います。
しかし、「明らかに間違った医療」は、もちろん行ってはならないことです。
例えば、リウマチの患者さんに対して一回も手足や肺のレントゲンを撮らずに経過を見たり、リウマチ治療薬の禁忌がないのにステロイドだけで治療されていたり、ステロイドを長期内服しているのに骨の薬が入っていなかったり、結核やB型肝炎の有無を確認せずに生物学的製剤を投与したり、などなど。
少なくとも、「明らかに間違った医療」を繰り返し行っている医者は、残念ながら未だ存在します。
記事にもありますように、リピーター医師が問題となったのは、医療事故が多発するようになった1999年頃からとのこと。
医療事故問題について本格的に動くようになって、たかだか18年足らずです。
「明らかに間違った医療」を行う「リピーター医師」の対策は、どこの医療機関でもまだまだこれからなのだと思います。
そのために必要なことは何か。
これはひとえに「指摘すること」に尽きるのだと思います。
医療事故対策の一環として「ヒヤリハット報告書」というものがあります。
いかなる軽微なミスであっても、全ての医療スタッフは「ヒヤリハット報告書」を提出することになっており、私も提出したことはあります。
この「ヒヤリハット報告書」の目的は、再発防止が目的であり、処分が目的ではありません。
ミスをしたのであれば、それ相当に処分すべきではないかと思われるかもしれませんが、もし処分が厳しくなれば、それを恐れて報告しなくなり、実態を把握出来ずに、再発防止につながらないということです。
これに関しては、どこの医療機関でもそうですし、その考え自体は賛成です。
そういうこともあり、誤りに対して強く指摘しない風潮が全体的に存在しております。
しかし、それと「明らかに間違った医療」とは、全く別問題です。
「明らかに間違った医療」を繰り返す理由は、本人に自覚がないからです。
繰り返さないようにするためには、指摘することが重要なのです。
当然のことながら、「明らかに間違った医療」を繰り返せば、いずれは取り返しの付かない事態につながる訳です。
その指摘する力が幹部クラスの人間に欠如していた場合、この問題が解決することは絶対にありません。
また、どれだけ明らかに間違った医療であっても、それを指摘出来るまでに立証することは、それはそれで簡単なことではありません。
まだまだこれからの問題だと思いますが、必ず何とかしなければならない問題だと思います。
そのためにも、私自身がもちろん明らかに間違った医療を行わないことを前提に、もしそういうことに気づいたら、自分自身も指摘出来るよう、考えていきたいと思っています。