先日、同僚から「数年前に戻ることが出来たら、何科を選ぶか?」と質問されました。

 

もちろん、リウマチ膠原病内科です。

 

医者になって11年目、リウマチ膠原病内科医として8年目を迎えました。

 

私にとって、リウマチ膠原病内科医は天職だと思っております。

 

リウマチ膠原病内科が嫌になって、他の科の方がいいなあと思ったことは、一度もありませんでした。

 

多分、これからもずっとないと思います。

 

それだけ、リウマチ膠原病内科は非常に魅力的な診療科なのです。

 

今日はそのことについて書こうと思います。

 

 

リウマチ膠原病内科と言って、皆さんはピンと来ますでしょうか?

 

関節リウマチは何となく分かると思います。

 

関節が痛くなる病気という程度であっても、名前くらいは聞いたことはあると思います。

 

では、膠原病とは何か?

 

極めて簡単に説明すれば、自分の免疫が誤って自分の内臓や皮膚などを攻撃してしまう病気です。

 

これは、別の呼び名として、自己免疫疾患という言い方もしますが、自己免疫疾患はより広い意味を示します。

 

例えば、バセドウ病という自分の免疫が誤って甲状腺を攻撃してしまう病気がありますが、これは基本的に甲状腺だけを攻撃する病気です。

 

膠原病は、バセドウ病のように特定の臓器だけでなく、全身のありとあらゆる臓器を自分の免疫が攻撃する病気のことを言います。

 

実は関節リウマチも膠原病の一種であり、関節が主ですが、肺など他の臓器も病変を来すことがあります。

 

ただ、膠原病は多くの場合は数万人に1人、一番頻度の高いシェーグレン症候群でさえも約3000人に1人くらいである一方、関節リウマチは約100人に1人と、圧倒的に頻度が高いこともあり、世間の認知度も高いため、リウマチと膠原病は分けて考えることが多いのです。

 

 

これらの病気についての内容は追々書こうと思いますが、今日はリウマチ膠原病内科のどこに魅力を感じるかについて書こうと思います。

 

リウマチ膠原病内科の最大の特徴。

 

それは、「全身を診ること」です。

 

内科といっても色んな種類がありますが、最も全身を診ることを要求される内科は、間違いなくリウマチ膠原病内科です。

 

なぜなら、リウマチ膠原病自体が全身疾患だからです。

 

頭の先から足の先まで、内科はもちろん、皮膚科や整形外科、時には眼科や耳鼻科など、程度の差はあれ、おそらく全ての診療科の知識が要求されます。

 

また、リウマチ膠原病自体が全身疾患であるだけでなく、リウマチ膠原病とは関係無い他の病気を合併していた場合、診断や治療方針に大きな影響を及ぼすことがあることと、さらにはステロイドに代表されるリウマチ膠原病の治療薬は、非常に多彩な副作用に注意しなければならないことから、ますます全身を診る技術と幅広い知識が要求されるのです。

 

その結果、内科医として、「病気ではなく人を診る」能力が自然と身につき、結果として患者さんのあらゆる症状に対して対応することが出来るようになるのです。

 

さらに、リウマチ膠原病内科は、非常に専門性が高いです。

 

全身を診ることもさることながら、リウマチ膠原病自体を診ることは、リウマチ膠原病内科医しか出来ません。

 

というより、他の診療科の先生方は、リウマチ膠原病が落ち着いていても、リウマチ膠原病の患者さんというだけで、肺炎や尿路感染など、一般の内科医でも診られるレベルの病態でも、私達が診させられることが、しばしばあります。

 

リウマチ膠原病内科医は非常に少ないです。

 

埼玉県内でリウマチ専門医は約200人いますが、その半分は整形外科医です。

 

内科のリウマチ専門医はおそらく100人前後なのですが、リウマチの患者さんは単純計算で埼玉県内に約3万人います。

 

リウマチ以外の膠原病の患者さんも、個々の疾患は数万人に一人とはいえ、専門医が少ないため、私だけでも外来で何十人も診ていましたし、入院患者さんを含めれば、相当数診てきました。

 

このように、幅広く患者さんに対応出来る総合内科医でありながら、非常に専門性の高い内科医という両方の側面を持つことが出来、私にとってはこれほど魅力的な内科はないと思っています。

 

さらに、特にリウマチではここ最近、非常に治療が進歩してきたことから、劇的な改善を見ることが出来ています。

 

ですので、「完治」はまだ厳しいものの、患者さんが「よくなる」姿を見ることが可能となっているのです。

 

膠原病はまだ治療においては十分ではないものの、それでも治療についてはかなりの進歩を見せておりますし、今後さらに進歩することが期待出来る領域だと思っています。

 

ですので、私自身の研究が今後のリウマチ膠原病領域の発展に大きくつながる可能性も十分にありますし、研究面においてもやりがいが大きいのです。

 

 

まだまだ語りたいことは沢山ありますが、私がなぜリウマチ膠原病内科にこれほどまで魅せられているか、ご理解いただけましたでしょうか?

 

 

しかし、残念ながら未だにリウマチ膠原病内科は、全診療科の中ではマニアックな位置づけて、研修医からの人気が低く、なり手が少ないため、常に人手不足の状態が続いています。

 

その理由はまた機会がありましたら書きたいと思いますが、だからこそ、私としてはリウマチ膠原病内科が世間にもっと認知してもらえるよう、日々奮闘していきたいと思っています。