おとうちゃんは、休みには時間をかけて足に灸(やいと)をしていた。

足は灸のあとの黒ずんだかさぶただらけ。

 

大阪の商業高校を出てから、鉄工所をはじめる。

おばあちゃんがくず鉄拾いをして助けたそうだ。

人に騙されて、倒産。

 

結核で入院。

片肺飛行に。

 

踏んだり蹴ったりの青春。

サナトリウムで看護婦をしていたおかあちゃんと知り合う。

それからは、少し運が向いてきた。

 

大手鉄鋼会社の下請け会社で旋盤工として就職。

 

50代は単身赴任。

59歳、脳腫瘍で倒れるまで、その会社で働き抜いた。

 

その後は、ほとんど介護生活。

おとうちゃんを車に乗せて、温泉地を巡った。

おかあちゃんもおばあちゃんも先に逝き、おとうちゃんは78歳まで生きた。

家族葬にして本当に良かったと思う。