突然申し訳ないのだがラジニカーント様をご存じだろうか。
ラジニカーントとは:インド映画俳優。そしてスーパースターである。
どれくらいスーパースターかというと、主演映画では映画のタイトルが出るより先に
「SUPERSTAR RAJNI」
の文字が画面にババーンと表示されるくらいスーパースターである。
彼が画面に現れ微笑むだけで画面が華やぎ、人は踊り、腕を振るえば過剰なほどの風切り音、戦いとなれば1人だけマトリックスみたいな動きで悪漢たちをボッコボコ。もうとにかく凄いオーラを放っているインドの宝なのである。あのぐっさんもモノマネしているくらい宝なのである。
そういえばラジニ様映画について語っていなかった気がするので、今回はラジニ様主演の作品で僕の好きな作品を紹介させて頂きたい。
ロボット
ラジニカーント主演作の中では一番有名な作品ではないだろうか。そう、数百人のおじさんが合体して巨人になったり巨球になったりするあの映像だ。みたことあるだろう。あるはずだ。あってほしい。
この映像の中で一番好き放題やってるグラサンおじさんがラジニ様である。(ロボットの開発者と一人二役)
〜あらすじ〜
学習するスーパーロボット「チッティ」。そのあまりの高性能っぷりのためか、徐々に人々から疎まれるようになり、人間社会から遠ざけられていく。
さらに開発者の恋人に対して恋愛感情を持ったことで開発者とも対立。ついには生みの親である博士に破壊されそうになる。そこにつけ込んだライバル開発者によって殺人プログラムを埋め込まれ...
と、優秀すぎる者(ロボット)が社会にボコボコにされる様を描いた実直かつ風刺的な映画である。チッティが酷い目にしか遭わないので不憫極まりない。
物語だけを観ているとシビアで悲しいお話なのだが、問題は描写だ。
チッティは学習するスーパーロボット。
そのチッティの性能の高さを表す描写が尋常じゃなく面白い。
たとえば本を読む時は、
まず閉じた本を持って全体を眺める
↓
終わり。次の本を読む。
なんと本を開いてすらいない。この時点で一枚一枚ページをめくっていたシンウルトラマンより性能が良いことが判明してしまった。
走る電車には足裏の車輪でシャーーーと滑走すれば追いつき、悪党と戦えばもちろん無双状態。過剰なまでに窓ガラスが割れるし、途中から壁を走るくらいでは驚かなくなっている自分がいる。
そして予告編で山寺宏一も言っているが、ラスト40分のチッティ暴走シーンは必見である。
ラスト40分、そこに至るまで100回くらい脳裏に浮かんだ「この映画やべえな」が次々と更新されていく怒涛のトンチキアクションが君を待っている。悪用させられた人工知能の悲しい暴走シーンであることを忘れてはいけない。
増えるな
愉快なアクションシーンのおかげで、暗い物語なのに8割方爆笑しながら見ているという謎の視聴感が味わえる映画「ロボット」。なんだか凄いものを見れるので是非。
もちろんインド映画特有のクソなげーダンスシーンもあるぞ。ない訳がない。
続編の「ロボット2.0」もみてみたい。
いよいよキャスト名にすら「SUPERSTAR」が表記されている
ムトゥ踊るマハラジャ
日本に「インド映画」というジャンルを浸透させた伝説の作品である。いいパッケージだ。これほどまでにインド感のあるパッケージがあるだろうか。
この映画はとにかく鑑賞中の多幸感が凄まじい。
隙あらばラジニ様が歌って踊り戦い微笑む、ただただそれが面白い大娯楽映画(マサラ・ムービー)だ。
なんだマサラ・ムービーって。
物語は笑いありシリアスありで面白い話なのだが、それよりもインパクトの強すぎる演出が印象に残りまくって物語どころではない。
ラジニ様演じる、金持ちの家の召使い「ムトゥ」がいちいち面白いのである。
オープニングは馬車で現れたり
主人より人望あったり
恋に落ちればすぐ踊ったり(脳内イメージダンス)
やることなすこと豪快すぎる。
豪快さだけでなく、主人に対してはブレることのない忠誠心を持っている。芯の強い人間は見ていて大変気持ちが良い。あと主人と従者の信頼関係っていいよね。バーフバリー!
ボス その男シヴァージ
ラジニ様を最もうまく活用している、僕の激推しラジニ様映画である。
まずパッケージを見てほしい。
ばら撒かれる金、謎の仮面をつけ狂喜乱舞する群衆、そしてグラサンを光らせながら悠々自適に歩むラジニ様。左の古代戦士みたいな女性は正直よく分からないがなんだかめでたい。
そしてタイトルに"ボス"の2字がドン。
素晴らしい。そりゃあこんなの"ボス"以外の何者でもありませんわな。
この映画はラジニ様演じる心優しき実業家「シヴァージ」が真っ当な病院や学校を設立するために、賄賂に塗れたインド社会の現状と戦う、社会派映画なのである。
正当な手段では戦いの舞台にすら立てないことを悟った心優しきシヴァージが、戦うためにどんな手段でも使うことを決意する映画後半戦は激アツの連続である。怖いラジニ様を見たい時にぜひ。
こんなことをいうのはよくないかもしれないが、この映画の日本版予告編はなんだか色々おかしい。
全キャラを山寺宏一が吹替しているのは、まあ日本ではよくあることなのでいいのだが、展開の9割5部くらい予告編の中で流しているのは中々に狂ったプロモーションだと思う。いいのか?ハゲ展開まで語っていいのか?映画としていいのか?
と思ったがこれは映画ではなく祭りらしい。
まあ祭りならいいか...
ラジニ様のダークヒーローっぷりが見れる祭「ボス その男シヴァージ」。たいへんおすすめです。
ラジニ様は今も現役バリバリのスーパースター。
最近だと「ダルバール」「ジェイラル」などシリアスな作品で出ているご様子。機会があったらこれらも見てみたいところだ。もちろんシリアスに疲れた時の箸休めはシヴァージである。祭だ祭だ。