年齢別、Post Truth時代のプログラマ渡米ガイド | とりあえず、できるといってみよう!

年齢別、Post Truth時代のプログラマ渡米ガイド

大きなタイトルにしましたが、いつもどおり尻すぼみです。はい。

 

不定期にUSのソフトウェアエンジニアの待遇や、日本人が渡米することのメリットなどがTwitterの(私の狭い観測範囲で)沸き起こります。自分はこれまで、「渡米すると良いよ」という立場でこのブログにもちょこちょことそんなことを書いてきましたが、なにせ時代はPost Truthです。一歩引いて状況を見渡したほうが良いのかな、と思うこともあります。で、この記事です。

 

全年齢向け:

他人の情報は、あくまでも他人の情報です。それがあなたの未来を保証することはありません。参考になる場合もあれば、マイナスにしかならないこともあります。このブログもその一つです。

 

人は、2つの人生を同時に選択はできません。日本の子育てよりアメリカの子育てのほうが大変だった(もしくは子育てしやすい)と言っている人が、日本からアメリカに、もしくはアメリカから日本に、子供が何歳のときに引っ越したのか、追加の子供がいつ生まれたのか、その人の収入がどう変わったのか、加齢による体力の低下や感じ方の変化は、などなど。同じ条件で2点を比較することは不可能です。たとえ日米を2週間おきに行き来しながら子育てしている人が居て、その人の日米比較はあなたの役に立つでしょうか?だれかが語る一般論なり「個人の感想」は、あなたにとっての事実とはなりません。(私も日米比較何度か書いてるけどね。)

 

数字は嘘はつかないので、給料の比較とビックマックの価格の比較くらいはできるでしょうが、「生活の豊かさ」をそれで測るのはどうかと思います。それでも、給料の絶対額を比較することは意味が無いとは思いません。自分の仕事に、誰かが値段をつけるとして、より多い額をもらうことで満足感を得られればそれにこしたことはありません。

 

(一つ言えることは、「シリコンバレーでは年収200Kドルもらっても日本の年収1千万と同じレベルの生活」というのは、大きな嘘を含んでいます。シリコンバレーで働いていても、毎日片道1時間満員電車に揺られて、3件隣のアパートには誰が住んでいるのかもわからない家に住み、アメリカ的な食生活を送っているのであれば、たとえ100Kでも余裕で暮らせます。)

 

 

さてさて、ようやく本題

 

 

高校生:

 

アメリカの大学にいくべきか?という疑問を持つ高校生がどれだけいるのかはわかりませんが、自発的にそういう疑問を持ったのであれば、渡米は面白いかな、とは思います。よほどの場合を除き、コミュニティカレッジに行って英語を学びながら総合大学への編入を目指す、というのがこれまでのお決まりでした。Goさんのインタビューとか。( http://www.junglecity.com/jcommunity/community-projects/ileap-interview-go-hori ) でも、さすがに今これをやるのはウルトラEだな、と思います。

親に2000万ほど出してもらえる前提がないと今時はかなり厳しい。

 

そもそもブログタイトルはプログラマ渡米ガイドなんで、高校生であれば、そもそも自分がプログラマ *1 になりたいのか、というほうが大きい気がします。

 

もしプログラマに興味があって、将来アメリカもありかも?と漠然と考えている場合、CS(コンピュータサイエンス)か、それに類する大学に行って、最低限学位をとっておくことは将来の選択肢を大きくひろげます。「大学なんて行く必要がない」と上がりのポジションの人が言っていてもそれは単なる雑音です。学位のあるなし、学位の種類で将来働ける国が決まるかもしれません。

 

今の高校生が職を探すのは4~7年後。日本からの職探しはつぎの項に書くとして、President elect次第では、H1Bの道が閉ざされている可能性すらあります。なので、あまり道を決めすぎずに、やりたいことをやっておけば良いのかな、という気もします。

 

 

大学生:

選択肢は、日本の大学院に行く、海外の大学院に行く、日本で就職する、アメリカで就職するの4通り?

 

1.日本の大学院に行く

アカデミアに興味がある場合は、私はよくわかりません。アカデミアに興味はないけど日本の院に行く場合、格安でMasterを手に入れられる、に尽きるのでしょうね。リスクはないし、Masterは最終的にグリーンカードの申請までたどり着いたら効いてきます。

 

2.海外の大学院に行く

アカデミアに興味がある場合は、私はよくわかりません。アカデミアに興味はないけど海外の大学院に行く場合、(このブログの趣旨的には)職探しにいくことになります。日本の大学の成績が影響するので大学の成績をしっかり取ることが必要です。留学のネックはお金ですね。親が2000万ほど出してくれるか貸してくれれば。奨学金に望みをつなぐこともできますが、それでもある程度金がなければはじまりません。今3年生でアメリカの大学に行ったとして、President Elect次第で就活すらできずにすごすごと帰ってくる、なんてことも考えられますが。。

 

3.日本で就職する

 

今でいう、TD社やPFN社のようなところか、Google様に就職してL1ビザの渡米→グリーンカードを目指す。それはごくごく上澄みのエンジニアのみに与えられた特権。自分の観測範囲でAmazonやMSを見ても、日本で渡米前提の採用をしているようには見えません。(結果として社内転籍の人は多そう) 

一昔前のように、最初の海外ブランチとして東京オフィスを作って、ということは減っており、二昔前のように、東京にローカライズ部隊を、なんてことはまずなく。もはや実力を磨きつつ運任せでいくしかないんじゃないか、という現状です。

 

4.アメリカで就職する

 

よほど実力が認められれば、直接本社にレジュメを送って、Skype面接をくぐり抜け、(開発部門がなくても)日本オフィスに籍をおいて一年後L1を目指す、という道があります。かなり金と時間がかかる話なので、よほど金が余っていて、人が足りてない、その時時流に乗っている会社じゃないとなかなか難しい。実力的には、他の経験者採用と比べても魅力的じゃないと厳しいと思う。実際これをやったひとはまわりにはいるのですが、状況は刻一刻と変わってきているので。

 

新卒〜29歳

 

お金をためて海外修士に行くか、外資(やそれに似た会社)に転職して数年単位でチャンスを伺うか。すでに日本で就職している以上、ある程度時間と金をかけてすすめる必要があるし、それができるという優位点もあります。おすすめは、配偶者を見つけておくことですね!

 

30歳以上

 

今30歳以上の人は、かなり渡米しやすい10+年間を過ごしたと思います。その結果として今日本で楽しく働いているのであれば、わざわざ苦労しなくてよいのでは。今後は、日本でポジションを確立した上で、それを引っさげて海を渡る、というのが求められる気がします。景気と政治如何でどうとでもかわりますが。

 

 

総括:

 

うーん、もう少し前向きな情報を並べようと思ったのですが。。大統領選が未だに自分の中に影を落としているのを感じます。最悪の場合、10年後は、(親が超金持ち以外は)国内に数社だけ存在する「L1を通じて人材をアメリカに送り出す会社」 *2 に引っかかるよう頑張るのみ、なんてことになりかねなくて、このブログエントリ書かないほうが良かったか、と思ったりもしています。。それとも、「海外に転籍しようと思えばできるけど日本のほうが好きだから日本オフィスに居る」というひとで埋まってしまってヘッドカウントが空かないなんてことになるのかしら。

 

最後に:

 

みんなが米国に来ると、美味しい日本食料理屋が増えるのでみんな来てください!ラーメン、うどん、蕎麦はあるので、天ぷら専門店とかあったら嬉しい。

 

 

*1 ソフトウェアエンジニアと書きたいところですが、ブログタイトルの都合でプログラマで通しています。できればソフトウェアエンジニアと脳内変換してください。

 

*2 L1で社員を渡米させる会社には2種類あり、「帰国前提で長期出張させ、GCサポートは当然しない会社」と、「USへの人材供給として利用する会社」です。日本の会社は多くが前者です。後者は、H1Bが厳しくなれば、インドの人材輸出会社が主にL1を使い出すでしょう。もしかしたら彼らは日本でも人材輸出を始めるかもしれません。