昔友達に言われました。
商売のセンスは遺伝なのでしょうか？！
確かにうちは父が自営業、祖父も自営業でお店を営んでました、が、その前はわかりません。江戸時代はなにをしていたのか？晩年ルーツ探しをしていた叔母も亡くなってしまいましたか、父方にはぐるっと見回しても田んぼや畑を耕している家がひとつもない。私は自分は田舎を持たない子供だと思ってました。
しかしながらあまり行くことはなかったけれど母方のルーツは大きな農家の娘だった祖母とお寺の息子の祖父に遡ります。
もう皆亡くなりましたが祖母が元気だった頃には祖母の家は祖母をおばさん、と呼ぶ人たちがよく来ていましたし、幼い頃祖母につれられて堀ごたつのある大きな農家に泊まりにいったこともあります。
祖父が継がなかったお寺にも行きました。住職さんが祖母のことを叔母さんと呼んでいました。
ですから、こういう地に足がついた農村の血も入っているということですよね。
代々続く老舗ならいざ知らず、一般的に商売に家系とか、血統とか関係あるのか？
私は関係ないと思いまいます。
が、ここに来て怪しい話を聞きました。
その母方の祖父は見た目はしゅっととした感じで、お寺の息子で当時では珍しい大学出、会社勤めをしていたはずですが、ある日突然会社をやめて鉱山にいってしまったと言うのです。。
向田邦子のあうんに出てくるおじいさんが「ヤマにいってくる」と、一山当てようと出奔する場面がありますが、まさにそれのようで、祖母と幼い母たちをおいて国東半島にいってしまったと言うのです。
どういういきさつ、何をしに行ったのかはよくわかりません。
会社員の地位を捨てて坑夫になりにいったのでしょうか？なにか大きなもうけ話があったのでしょうか？
「そりゃあ寂しくて、心細くて、石がパカッと割れてダイヤモンドが出てこないかなー、お父さんが早く帰ってこないかなー、と、毎日思ってたわよ」と生前の伯母がいっていたのを記憶してます。
石炭王みたいな暮らしにならなかったところを見るとどうやら鉱山は当たらなかったらしいです(笑)。
そのあと大阪から小間物を仕入れて売る、という小さな商売を始め、その選んでくるものが気が利いてて、田舎のことですから、けっこう繁盛したと聞いてます。
だいたい祖父が祖母と結婚したとき呉の海軍工廠にいたのです。岐阜のお寺出身で京都の大学を出てなぜ呉で働いていたのか？私の知ってる祖父は太平洋戦争中、国策会社の社員で山口県にいて、その後広島で隠居暮らし、という姿です。その間にそんな鉱山にいったり、その後商売をやったりした時期があったということです。
この母方の祖父はわたしが赤ん坊の時に死んでしまったし、祖父祖母の実家にはほとんどかかわりなく育ってきたので私は親族と言えば母の姉妹である叔母たちの一家、北陸出身の父方の人々だとおもってきたのですが、ここに来てこの祖父のふらふらした行動に怪しい遺伝も感じるようになってきました。
田舎のお寺の息子が縁もゆかりもないところで職業を変えながら生きている、というのは当時は少なかったのではないかと思いますから。
祖母からは苦労話ばかり聞いていたのでてっきり貧乏で大変だったのかと思っていましたが、母に言わせれば貧しくて大変だったのは戦後だったと言いました。
祖父はお坊さんも勤め人もいやだったのかなー？チャンスをつかもうとしては結局会社員になって、ということを繰り返したのかもしれませんね。
そういえばその会社員時代に大杉栄と間違われて袋叩きにあって、その喧嘩の渦の中から祖母が引っ張り出して救出したというエピソードがあります。
現状満足してなくて、大卒で理屈がたつから「シュギシャ」と思われたのかもしれません。田舎のことで有名なオオスギサカエ、という名前が出てきたのかもしれませんが、笑えないエピソードです。
祖母の武勇伝としては笑えますが。
私が赤ん坊の時に死んでしまったし、あまりよく知らない祖父ですが、何かやりたいなーと思ってたのかもしれませんね。
父方、両親の姿についても思うところはありますので、いずれ書いてみたいと思います。
商売に遺伝は関係ないと思います。
でもお商売の家、というのには商いの大小に関わらず似通った雰囲気はありますね。
何事も遺伝より環境かもしれませんね。