前回の記事において、自身がディズニー映画のタイトルに関して考えることを少しばかり書かせていただいた。本来ならこの一枚で済ませるつもりでいたのだが、思ったよりも長くなってしまい今回に至る。
↓未読の場合は、是非に。
タイトルで観るディズニー映画#2
前回の記事では、おもに「内容をわかりやすく察してもらうため」に変更されたタイトルについて考えてみた。なので今回は、海外と日本でおそらく内容への解釈が違ったために変わった(あくまで筆者の推測だが)タイトルについて考えてみたいと思う。
前回同様、三作ピックアップしてみた。
2分の1の魔法については、コロナ禍での公開ということもあり成績はふるわなかったと言われているが、シンプルに泣ける神映画なので未視聴の方は是非。
・邦題のほうが良いまであるよね!?
『リメンバー・ミー』に関して、筆者は邦題のほうが良いじゃん!と思ってしまった。
しかしこれは、リヴェラ家のヘクターという存在を何に委ねたか、という解釈の違いだと筆者は考察している。
実際に父の歌を聴き、歌い、記憶しているママ・ココにヘクターの存在を委ねるのか、それともヘクターがママ・ココのために書き、ミゲルの代まで記憶されてきた(まあ、デラクルスが奪って歌い継いできたのだが…)リメンバー・ミーにヘクターの存在を委ねるのか。どちらも素敵なのだが、ミゲルが最後にリメンバー・ミーをママ・ココに歌って聴かせたことで彼女が父であるヘクターを思い出したため、彼のすべてはこの曲に記憶されているのかもしれない。
Remember Me は直訳すると「覚えていて」。この覚えている、ということが、この作中においてどれだけ大事なことかは、ご覧になった皆様ならおわかりになるだろうと思う。だから筆者はこの邦題がかなり好きであるし、大成功だと思う。
続いて『2分の1の魔法』についてだが、本作も解釈の違いによってこのような邦題がついたのだと筆者は考えている。
Onward は「先へ進む」というような意味がある。
兄弟たちに前を向いて進んでもらうために、先立った父は魔法の杖を遺していた。お父さんはいないけれどお前たちは先に進むんだよ、と無言で伝えるわけで。このOnwardという単語1つにこれだけの切なさを演出できるのが凄すぎる。
しかし邦題である『2分の1の魔法』が持ち合わせる切なさもまた凄いものがあると思った。復活させることができたお父さんの体は2分の1で、魔法を使えるのは兄弟のうちイアンだけ。つまり2分の1で、父に会うことができたのは兄のバーリーだけ、これも2分の1(生前の父と会えているのも兄のみである)。この日本語ならではの細やかさと切なさは、大成功だったと筆者は思っている。
▲英題も素敵だが、観たあとで「2分の1」の本当の意味が解る。
ここまで既に長くなっている気もするが、『シュガー・ラッシュ』についてのタイトル考察も少し書かせていただきたい。
シュガー・ラッシュの英題は、『Wreck it Ralph』。訳すと「ブッ壊せ、ラルフ」みたいな意味に。このタイトルはかなりイケてて筆者は好きだ。それに、作中では悪役を嫌がるラルフに「ブッ壊せ」と言うのがかなりシニカルで、センスがあると思った。しかし『シュガー・ラッシュ』も、成功したタイトルだと筆者は考えている。まずこの可愛らしい文字列がポップなレトロゲームのビジュアルにぴったりだし、そもそも「糖分の過剰摂取でハイになる」という意味があるらしい。このハイになるという状態が、この映画の温度感に非常に合っていると思う。英題がブッ壊すラルフに重きを置いているのに対し、邦題ではラルフとヴァネロペの友情に重きを置いているのかなとも思った。皮肉のない、ある意味優しい邦題も、筆者は非常に素敵なタイトルだと思っている。
・おわりに
長くなってしまったが、タイトルひとつで文化や考えの違いが大きく出てくるものだなと改めて思った。
とくに日本の場合、デザインは「ひと目でわかる」「余すことなく説明する」を徹底している場合が多い(お掃除グッズのパッケージなど、その傾向が顕著だ)。それが好転することもあれば、「ダサい」と言われてしまうこともある。海外のかっこいいデザインが話題になると、「それに比べて日本は〜…」と引合いに出されてしまいがちだが、そもそも文化が違うのと、日本のデザインが必ずしもダサいなんてことはない(和柄なんて日本が誇るデザインの一つだし)。
今回タイトルからアプローチしてみて、日本語の難しさと面白さを改めて知った気がする。
さて、相も変わらず拙い文章だったが、邦題についての解釈がより広がるならばこれ幸いである。ここまで読んでくださったすべての方に心から感謝申し上げたい。


