晴天の春の日、県立森林公園に行った。昨年7月、大汗を書きながら登山をして以来である。今回は1年半ぶりに家人と一緒だった。家人は園内に咲いている花を見たいと言っていた。

 準備をして歩き始めたのは9時半頃だった。すぐ道の脇にミズバショウを見つけた。ところどころに咲いているのかと思ったら群生している。写真を撮ろうとして身を乗り出し、踏まないように気をつけなければならないくらいだった。

 数は少ないが、ザゼンソウも咲いていた。花弁の重なりが、僧侶が座禅を組む姿に見えることが名前の由来である。大勢の人がこの珍しい花の写真を撮っていた。県内でザゼンソウを見ることができる場所が他にあるのだろうか。

 かえで園地の分岐で右折し、県境三叉路の登山口から登り始めた。急登だが、よく整備された登山道を登った。風が通ると肌寒い感じだったが、徐々に汗ばんできた。家人は上着を1枚脱いでいた。

 県境三叉路に着いたのは10時40分頃だった。小休止をして水分補給をした後、すぐに出発した。ここからは稜線歩きである。

 いい天気で気持ちがいい。途中、何人かの登山者とすれ違った。いつものソロ登山なら、かなりスピードを出して歩くだろう。しかし、この日は家人と一緒なので、かなりゆっくりとしたペースで歩いた。

 ネットをかけて植物を保護しているところがあった。じっくり確認したものの、芽も花も何もなかった。不思議に思いながら通過した。そこはイワウチワが咲くところだと分かったのは、下山後のことである。

 最北端のすずのこ平に到着したのは11時20分だった。3人の方がお弁当を食べていた。ザックを下ろし、私と家人も食事をした。本来なら、遠く中国山地の山々が見渡せるはずである。しかし、この日は黄砂が飛来していいて、ぼんやりとしか見えなかった。それでも目を凝らすと、樹間から雪をかぶった大山の姿を確認することができた。25分くらい滞在した後、下山することにした。

 途中で昨年からの宿題を果たさなければならなかった。霧ヶ峯へ行くことである。昨年7月末にこのコースを通った時、霧ヶ峯まで足を伸ばすつもりだった。しかし、ヤブに覆われていて、分岐点すら見つけることができなかった。その時のことは、昨年のこのブログにも書いたとおりである。

 YAMAPを見ながら、慎重に分岐点を探した。すると、ヤブが倒れているような箇所を見つけた。ザックを置き、家人に待つように伝えて、思い切ってヤブの中に入って行った。ネマガリダケが密集しているが、力任せに先に進んだ。すると、わずかな踏み跡を発見。しかし、まもなく踏み跡は消えてしまった。

 勘を頼りにヤブと格闘すること15分、遂に霧ケ峯の三角点を見つけることができた。木の幹に「霧ヶ峯」という札もかかっていた。宿題をやり遂げて、ホッとした瞬間だった。家人のところに戻るのに、ネマガリダケの先で足に切り傷ができた。しかし、それくらいは仕方がない。

 奥ぶなの平からぶなの平園地までは、ぶなの木が林立している。かなり芽吹いていて、これはこれで見ごたえがある。家人はぶな林の美しさに感激していた。「また紅葉の季節にも来たい」と言っていた。

 管理センターまで戻ってきたのは13時10分くらいだった。YAMAPによると、タイム3時間39分、距離7.2kmだった。春の気持ちいい山歩きを楽しむことができた。

 まゆみ園地を散策したが、まだ何か所か雪が残っていた。今度来た時は、きたけ峰や千軒平も行ってみたい。霧ヶ峯は…多分、もう行かないだろうと思いながら帰路に就いた。