3月17日(日)、「吉備路の山全山縦走大会」に参加した。初めてなので、ハーフの足守コース(18キロ)での参加である。朝早く起きて、岡山駅5時55分発の桃太郎線の列車に乗った。1両増結されていたが、それでもこの大会に参加する人たちで満員だった。

 JR服部駅に着くと、駅前にはボランティアスタッフの人がいて、受付をした。後日の新聞によると、900人以上の参加者だったという。準備を整え、歩き始めたのは6時半だった。

 鬼城山の南門までのコースは、2週間前のこのブログに書いた通りである。あまりに人が多いので、登山道の途中で何度も渋滞した。それ以外は想像通りだった。

 以下は、南門から後のことである。

 

 ほぼ一列になって先に進んでいった。東門を通り、温羅遺跡に着いた。大勢の人が景色を楽しみながら休憩している。しかし、私は人の流れに沿ってそのまま歩き続けた。前を歩く人を追い越したいが、なかなか先に行けない。ちょっとイライラしていると、逆に後ろから来た人に追い越されてしまった。ちょっと悔しくて、今度は私が追い越してやろうと思ったが、北門を過ぎて下り坂になったために断念。後ろを付いて行くことにした。

 ロープのある急坂を過ぎると、シダ類が群生しているところがあった。3週間前、NHKの「にっぽん百低山」という番組で、吉田類さんと東ちづるさんが歩いていたのはここだろうと思った。

 その後は、ほぼ一列になって里山の道を歩いた。私よりも年上の参加者も多いが、皆さん疲れた様子も見せず、元気に歩いていた。岩屋休憩所に着いたのは9時20分頃だった。大勢が休憩していた。私もザックを下ろし、トイレに行った。水分補給も十分しておいた。

 再び歩き始めた。私の前を5人くらいの集団が話をしながら歩いていた。話に夢中になっていたのか、左折する分岐のところを直進してしまった。「こっち(左)じゃないですか」と教えてあげた。

 有名な「鬼の差し上げ岩」に着いた。そのまま通り過ぎる人が多かったが、私は岩の中に入ったりした。その後は気持ちのいい山道が続いていた。前を歩くおじさんの歩調に合わせて後に続いた。「鬼の昼寝岩」を左手に見てどんどん歩いていると、地面が濡れているところで足を滑らせてしまった。上手く手を付いたので怪我はしなかったが、ズボンの左ひざにべっとりと泥が付いてしまった。私の後ろを歩いていた人は、私を助けようとして同じように足を滑らせた。美しい里山が続いているので、景色に見とれて少し油断してしまった。

 舗装された道を通り、再び山道に入ると、私の前をミレーのサースフェーのザックを背負った60歳くらいの女性が歩いていた。このザックは私も持っている。下り坂で追い抜いて振り返り、「ミレーのザックですね、使い心地はどうですか?」と声をかけた。「ちょっと大きい」と言っていた。「どこで買ったんですか」と聞くと、福山の好日山荘とのこと。「私は岡山駅前の好日山荘で買ったんですよ。でも、2年前に閉店してしまって」と言うと、その女性も「岡山駅前の好日山荘が好きだった」とのことだった。結局、参加者と話をしたのは、この女性だけだった。

 奥坂休憩所に着いたのは10時半頃だった。ここは4年前、初めて鬼城山に登った時、車を止めたところである。大勢の参加者がくつろいでいた。ボランティアスタッフから食べ物が入った袋を渡された。開いてみると、パンとちくわだった。これは近くにヤマザキパンと紀文の工場があるので提供してもらったのだろう。パンを食べていると、雨がぽつりぽつりと落ちてきた。天気予報では昼頃から雨ということだったが、少し早く降り出したようだ。出発する人を見ると、ほとんどの人はレインウェアを着ている。雨脚が強くなりそうだったので、私も久しぶりにレインウェアを着て、ザックカバーも付けた。

 雨の中を歩き始めた。この辺りになると人の流れは少なくなり、前には数人しか歩いていなかった。しばらくして登山道に入った。相変わらず雨が降っている。このまま降り続くのかと思っていたが、徐々に小降りになり、そのうちにやんでしまった。こうなると、レインウェアがうっとうしい。山道を抜けて舗装道路に出たところで脱ぐことにした。

 足守の住宅街の中を歩いた。ここはかつて足守藩の陣屋町だったところで、今でも城下町の雰囲気が残っている。いつかゆっくりと散策してみたいと思っていたら、この大会の足守コースのゴールである足守小学校に到着した。11時30分になっていた。歩き始めてから5時間でのゴールだった。テントで「完全歩行認定書」をもらい、アンケートを書いて提出した。山道を18キロ歩いたが、疲労感はあまりなかった。

 雨が再び落ちてきた。お腹がすいていたので、学校の軒下に行き、残っていたおにぎりやパンを食べた。「近水園」という庭園が近くにあると知っていたので足を伸ばしてみた。小学校の裏手あったが、誰もいなかった。

 小学校に戻ると、続々と後続の参加者が到着していた。雨は激しくなり、ザーザー降りと言ってもいいくらいだった。家人が車で迎えに来たので帰ったが、雨の中を最終ゴールを目指して歩いている人を多く見た。寒いだろうと思った。

 次回はぜひいい天気の中を歩きたい。今年はハーフコースだったので、来年はぜひ全山縦走にチャレンジしてみようと思う。