ティム・イーガンという人の絵本を初めて読んだが、なかなかの傑作だと思った。
ぼうっとしているのが好きなネズミのドスワース。ちょっと働いて、あとはテレビを見て、昼寝をして、夕方5時には夕飯を食べて、またテレビを見て眠るという毎日。そのドスワースが、ガラクタ置き場でピンクのさびついたれいぞうこを見つける。地球の形のマグネットで紙切れが止めてあり、「絵を描こう」と書いてある。次の日には「本を読もう」、次の日には「演奏しよう」、次の日には「料理をしよう」、次の日には「にわをつくろう」。ドスワースはその紙に書いてある通りにいろいろやってみる。最後は「どんどんやってみよう」。
いろいろやったドスワースが、地球の形のマグネットをながめていると、「突然この世界が不思議で満ち溢れているい気がして、胸がドキドキした」というところがとてのいい。無目的に生きていたドスワースが、「どんどんやってみる」気になり、自分で動こうと決心し、旅に出ることにしたのだ。
ラスト、再びガラクタ置き場に寄り、月に照らされたピンクのれいぞうこを見る。やっぱりおんぼろでさびついていたけれど、どこか輝いているようにも見えた。このシーンがとてもいい。良くできた映画のラストのようだ。
地球の形のマグネットがキイになっている。子ども向きというよりも、大人が読んで感じるものが多い絵本だと思った。読み聞かせにも最適。