或る孤独者のつれづれ日記-きりのカーニバル
 何年か前に一度だけ読んだ絵本で、どうしてもタイトルも作者も思い出せなくて、ずっと心に引っかかっていた作品がある。ロボットと少年が山の中に入っていくというストーリーなのだが、山の中で不思議な者達が出てきて、一緒に夜の山を楽しむという話だった。その不思議な者達はゴンゴ族という名前だった。以前は図書館で借りたので、図書館に行く度に何気なく探すものの、どうしても見つけることができなかった。

 ところが、先日図書館に行った時、ふと見覚えのある絵が目に入った。それは探していた絵本ではなかったものの、同じ作者が書いたものに違いなかった。作者は「たむらしげる」さんだった。その図書館で、たむらさんの作品を探してみた。しかし他の作品は多数あっても、目当ての絵本はなかった。検索する機械で図書館にあるたむらさんの作品を全て調べたところ、探していた絵本は、「きりのカーニバル」だとわかった。別の図書館に蔵書としてあるということで、さっそく予約をして何年ぶりかで手にすることができた。

 読み返してみて、改めて不思議なストーリーだと思った。普段たむらさんはコンピューターグラフィックスで絵を描くらしいのだが、この作品は水彩画で描かれていて、霧で覆われた夜の山の中の雰囲気が、とてもよく出ていると思う。「フォグキャンディ」という霧で作る綿菓子のようなものを、ぜひ食べてみたいものだ。

 それにしても、カーニバルの中で流れている不思議な歌は、一体どんなメロディーなのでしょう。