山陰山陽の滝旅 #24


江の川(ごうのかわ)。

水源は広島県にありながら中国山地を貫いて山陰の日本海に注ぐ大河。今回訪れた滝にも最終的に江の川に繋がる滝は多かったです。


常清滝から5kmも離れていない、その江の川の流域。何の事前情報もなく、ちょっと軽い気持ちである滝に寄りました。


滝への林道入り口に着くと……???

そして通行止。見る限り林道は狭く荒れていました。

これは無理だなぁ
諦めて次の滝に行こう

国道375号線に戻り、さっき曲がったところを過ぎようとした時………あれ?

向こう側は剥げて解読不能な国道の看板、こちら側は明確な滝の案内板になっていました。


滝まで800m、道筋もわかったので行ってみよう。近くの路肩に停めてGoggle Mapを見ると、なかなかの豪瀑らしい。通行止は気になるけど………

準備して直ぐに出発。林道に突入。
ところがこの林道、凄まじい荒れ方でした。

ガードレールの舗装路に草木が生い茂り。

ここが昔の駐車スペース?

めげずに進むと………
生い茂る雑草、倒木、落石………一番厄介だったのが水捌けが悪いので沼になっている地面……沢靴とは言えメンタル削がれます。

舗装路が終わると歩きやすくなり、薄い踏み跡の両側にシャガの花がたくさん咲いていました。

沢に架かる橋も苔と草。シャガの花が導いてくれていました。

癒されたのは束の間。沢の右岸はすでに道の体をなしていません。大きな落石がゴロゴロ、それを濃密に覆う倒木と草木、クモの巣やトゲトゲの追加あり。これが200mほど続きます。

どうにか進めたのは要所要所にあった『地籍調査』のピンクテープ。

一度折り返すと道は落ち着いてきました。
そして滝のある沢に到着。

この華奢な鉄の橋、自分が乗るとしなって動く。この幅では飛び越えることはできないし。手前半分までソロリソロリと、そこからジャンプして向こう側に渡りました。

沢の上流からは滝音が響き稲滝が見えていました。

ひとまず林道を登って、先にある小滝に向かいます。

林道が折り返す茂みに分け入ると……

小滝
稲滝の沢とは別の沢の滝です。苔むした岩を細々と流れ落ちていました。

荒れた林道はまだ先に続いていましたが、ここで引き返して稲滝に。
先ほどの鉄の橋からは道無き道を沢登り。地籍調査のピンクテープが両岸についていました。

ねちっこい木を掻き分けて、大きな石をよじ登っていきます。沢登りと言うより石登り。

滝の飛沫が見えてきました。

稲滝
苦労の末にやっと会えた滝です。

水は飛沫となって跳び跳ねているように。

岩壁の凹凸もいいですね。

実は目の前のこの滝は、総落差60m を越える稲滝の、下段の更に下半分なのです。

つまりこの上に、下段の上段と、中段と上段があるわけです(笑)。

滝つぼはありません。

そして滝前は荒れていました。

この上はどうなっているのか?

聴こえるのは滝音と鳥の囀ずり。

人間の痕跡が一切無い狭い滝前にドカッと腰を下ろして、しばらくの時間を楽しませていただきました。


戻ります。

慎重に沢を下り再び恐い思いして橋を渡りました。

このルート、夏になったらどうなってしまうのだろう。

シャガの花に癒されて。

直ぐに悪路に怯みます。

舗装された道が本気で荒れるとどうなるのか………実感できました。

相棒に戻り、ひとまずほっとしました。

荒れた悪路と散々な書き方をしましたが、それはそれで楽しくもありました。

あの林道の先には何かあるのか?
そして稲滝の全貌は?

未知があるとワクワクすること……

ありますよね。


【まとめ】

◯2024.5.3 ひとりで。

◯天気は晴れ。

◯悪路を辿って小滝まで。

◯秘境感満載の稲滝。

◯目の前の稲滝は下段の下段。

◯シャガと地籍調査のピンクテープ。


◯訪れた滝

○稲滝:広島県三次市

○小滝:同上