気ままな九州の滝旅 #4


滝旅は2日目。

ここは道の駅 原尻の滝、時刻は4:30。

恐る恐る外を確認すると雨はまだ降っていませんでした。雨雲レーダーではあと二時間もすると降りだしそう。大急ぎで出発の準備をします。


昔、原尻の滝を調べた時に沈堕の滝と蝙蝠の滝の存在を知りました。この三滝は"豊後大野の三名瀑" とも呼ばれているようです。原尻の滝は日本の滝百選だし、沈墮の滝は遺構があり共に名所になっていますが、蝙蝠の滝はほぼ無名です。そんな蝙蝠の滝に何故か強く曳かれてしまい、会うつもりで来ても機会に恵まれずにいました。


なので蝙蝠の滝は、今回の滝旅で必ず会いたい★印の滝なのです。


滝までの道路は極めて狭く一般的には展望所からの遠望となります。狭ければ歩けば良いと予定に組み込みました。


そんな矢先の出発直前に「蝙蝠の滝への道は4/30まで通行止め」との情報を知りました。早速、お役所の担当窓口に問い合わせると「展望所を整備して道を修復していました。工事は既に完了しているので通って大丈夫です。」との連絡をいただきました。本当にありがたいことです。


過去からの経緯があって自分にとっては特別な滝。一目でいいから会いたい、その一心で出発しました。遠望なので雨や霧、ガスが心配で焦ってしまいます。


国道502号線からの入り口。目印のパターゴルフの看板の隣に蝙蝠の滝展望所の看板。

ゴルフ場付近に滝までの略図。要所には標識があるので迷うことは無さそうです。あとは道の幅ですが1865mmの相棒は無事に通れるのだろうか。

進んでいくと早速、道幅が狭まった。犬の散歩の方にお聞きすると滝はこの先だそう。まだ相棒は無傷だし、一瞬、躊躇して突入すれば、衝突回避の警告が前だの後ろだのピーピー鳴り出した。センサーが認識しているのは草だと信じてゆっくりと進み、なんとか通り抜けました。

田んぼの道をゆっくり進むと………

修復工事の道が展望所に導いてくれました。

そして展望所に到着。雨は今にも降ってきそう。

地元の皆さんは、原尻の滝、沈墮の滝とともに本気で名所として開発されるようです。

そして彼方の眼下には………

蝙蝠の滝 こうもりのたき
初めて存在を知ってから5年も経ってしまいましたが、やっと会えました。

落差は10m、巨大な蝙蝠は120m の羽を拡げていました。

大野川。滝の上流は単なる川原ではなく、岩畳のようにも見てとれます。

何かの拍子に10mの段差ができて岩間を落ちる本流の滝。曽木の滝と吹割の滝を足して割ったような印象です。あそこが侵食していったら、遠い未来には両側から水が落ち込むかなぁ………とか。

複雑な川の流れ。柱状節理も。残念ながら舟路の遺構は木に隠れて目視できませんでした。

しばらく食い入るように滝を眺めていると……

予報通り本降りの雨。

滝が見える位置まで相棒を移動して、あと少し時を過ごしました。

もちろん雨が止む気配はなく、頃合いを見て決心して戻りました。

どうか絶対に対向車が来ませんように。

滝から離れてもずっと余韻が残っていました。

原尻の滝にお越しの際は、蝙蝠の滝も是非是非。

取り敢えず道の駅 原尻の滝に戻ってきました。

勿論、雨は降っていますが幾分小降り、ここは傘をさして滝見ができます。

GWの初日、お客さんはポツポツでどこか寂しげ。

まずは滝見橋から。

雄大な風景を俯瞰します。

原尻の滝
今回で三度目ですが雨確率は2/3。

滝見橋は渡った先で通行止めとなっていました。麦畑に行けず残念です。

まだ増水という感じではなく、注意しながら川原に降りてみました。

原尻の滝には真っ青な青空が良く似合うのですが、雨もまた良し。

雄大な原尻の滝………とは言え「◯◯のナイアガラ」と言う表現は個人的には馴染めません。それぞれの滝の良さは異なると思うので。

左岸から見た主瀑。

滝前から一度上がって滝上に。

間近な迫力にくらくらしてしまいます。

一番端の一本だって見逃しません。

水は競うように次々に落ちていきます。

あの岩のせいで二条で落ちるのですね。

なんだか寄り添っているようで微笑ましいです。

鳥居にも威厳があります。

雨中の散策でしたが、毎度、楽しませてくれる原尻の滝なのでした。

となれば沈墮の滝にも会いに行きます。今回は県道沿いの展望所から。

室町時代に水墨画家である雪舟が訪れ「鎮堕瀑図」を描いたことで有名な滝です。

沈墮の滝 (雄滝) ちんだのたき
正面に沈墮の滝の雄滝、手前が雌滝です。

滝の上流で、蝙蝠の滝の大野川と原尻の滝の緒方川が合流しているので水量は豊富です。

自然と人工のハイブリッドな滝として、沈墮の滝には歴史があります。

左岸のラピュタの遺構(旧発電所)、以前は中に入れたけど今はどうなんだろう。そして水が吹き出しているけど、あんなのあったかなぁ?

沈墮の滝 (雌滝)
雌滝は"滝落とし" の刑場跡。罪を犯したのか犯してないのか判断できなかったとき、滝つぼに落として生きて上がってくれば無罪放免だったらしい。

豊後大野の三名瀑は三滝三様。
会いたかった蝙蝠の滝に会えてこれにて完結。

次があるとすると、
蝙蝠の滝の展望所から奥に延びる道は、果たしてどこに繋がっているのだろう………

【まとめ】

◯2023.4.29 ひとりで。

◯天気は雨。

◯漸く蝙蝠の滝に会うことができた。

◯ルートの整備に感謝。

◯雨の原尻の滝。

◯沈墮の滝の歴史を振り返る。


◯訪れた滝

○蝙蝠の滝:大分県 豊後大野市

●原尻の滝:同上

沈堕の滝:同上