2021年秋、四国に滝旅 ③


星の岩屋で宿題を済ませ、

県道16号線を西進して灌頂滝はスルー、

剣山スーパー林道に入って百間滝も通過。


この剣山スーパー林道は自分の道路地図に『最も荒れているスーパー林道』と注記があり、最上級なのです。


それでも多少傷んではいましたが、殿川内渓谷に沿った林道はずっと舗装されていて、景観を楽しみながら走行できました。


まだ午後2時前でしたが、山合いには早くも夕刻の気配がちらちらと漂い、今思えば焦りを感じはじめていたのかもしれません。


ここかな?

スーパー林道から右折して『林道 カジヤ谷線』に入ると、荒れたダートになりましたが、直ぐに目の前が開けました。


駐車場? この先の道は更に荒れていそう。滝の標識などは見つからずどうしよう。

Google-map で滝の位置はわかっていたので、ここからは徒歩で。

徒歩にして正解でした。

順調なら10~15分位のハズ。影が伸びてきて、気温も下がってきました。

やがて『ふいご滝 200m』の看板があって安堵しました。その安堵が油断となりました。

意気揚々と堰堤を渡り、左岸の林道を進みます。

無いなぁ………
そろそろ滝近くだけど、ルートは?滝はどこ?

おかしいなぁ………
確か折り返し二回のつづら折りがあって、こんなところに出ました。

既に20分以上歩いています。ただ、起点となる駐車場は人によって違うし、上りはもともと鈍足なので、不安に思いながらも先に進みました。

すると………

自然に還った林道の先に土砂に埋まった堰堤があり、本流の沢沿いに薄い踏み跡が続いていました。

滝へのルートは大概そんなものなので、薄い踏み跡を辿ると………

あっ、滝だ?!

勿論それはフイゴ滝ではなく、ここで気持ちが折れました。
思わぬ滝に会えた嬉しさと、迷走してフイゴ滝を諦めざるを得ない悲しさと、頭のなかが真っ白になりました。

滝音、沢音で行動食を頬張り、まずは気分を落ち着かせます。そして戻りながら、せめてどこで間違えたのか明らかにしておこうと。

一応、思い当たるフシはありましたし………

少し風が出て寒くなってきました。
たぶん力無くトボトボと歩いています。

見上げれば青空が広がっていますが、谷は陽が影ってきています。

注意深く歩きましたが、途中に、標識、踏み跡、ロープなどルートの痕跡はありませんでした。

堰堤の標識まで戻ってきました。ここまでは間違いないはず。

あとはこの先の、堰堤を渡らずに右岸沢沿いエリアです。見に行くと、そこには落ち葉が積もって不明瞭ではありましたが踏み跡が。

もしこの道が正しければ、最大10分で滝のハズ。なので10分だけ進んでみようと。

本流から分岐した枝沢の右岸を辿り、5分ほど進むと岩の感じで滝を確信しました。

急な岩場から少し戻って沢に降りて、50mほど遡行しました。

あった! フイゴ滝はきっとあの岩間です。

完全にオーバーハングする岩壁。この地層に、何があったと言うのでしょう。

その奥に、岩をくぐって滝が落ちています。

滝つぼに入らないと、滝本体は良く見えません。膝上まで水に浸かって滝と対面しました。

フイゴ滝
落差は12m ほど、高さよりも形ですね。滝音が反響して怖いくらいでした。

滝は完全に岩をくり貫いて、穴のなかを落ちています。

くり貫かれた岩がなんとも艶かしく。

まさに"岩肌"………ではないかと。

肉眼では良くわからなかったのですが、写真だたと滝つぼの水も素敵に綺麗でした。

滝の前は狭い空間。明るいうちに訪れるのがお奨めです。

滝での滞在時間は20分と決めていました。時間はあっという間に過ぎて30分経過、そろそろ戻ります。

まだまだ足りないのですが、一度は諦めたフイゴ滝。会えただけでも"ヨシ" としなければ。

沢を少し下って右岸の岩の上に上がれば、ロープがありました。岩の上から俯瞰できるポイントもあったようですが見落としました。

踏み跡を慎重にもどります。

下流では、木々の向こうにも滝が見えていました。

唯一の目印は黄色い『保安林』の看板。間もなく林道です。

林道に復帰しました。"徒歩10分 標識あり"の慢心、自業自得であたふたしましたが、どうにか会えて良かった。

耳を澄ましながら、駐車場に戻ります。

ここかなぁ?

少し川下側に進み、斜面が緩んだ所から川に降りました。

とても良い雰囲気で驚きました。

鳥居滝
滝を形成する岩壁が深く浸食され、下流は滑床の段差がアクセントです。

早速、岩棚に登って滝に近づきます。右側の滝は"滝らしい滝" でした。

滝つぼは独特。滝は岩間に落ちて数メートルほどゴルジュを経て、その昔に滝つぼであったであろうお釜に。水はシックな"大人の青"。

滝を彩る紅葉🍁は控え目に。

左側の滝は巨石をくぐって、幾筋かの滝として落ちています。滝つぼは小石が堆積する "癒しの淡い青" と対称的です。

そして………
二つの滝を隔てる岩には、なんと大きな穴が空いています。

全く???な滝ですが、それが大きな魅力ですね。

鮮やかに彩られている岩穴と、その先に落ちている滝。

勿論、覗きにいきました。

岩穴から見上げれば落ち口。

お釜と思っていた滝の直下は岩棚でした。

自然の造形と色彩に、驚かされました。

実は………
今回の滝旅のためにライトカーボンの三脚を購入して持ってきたのですが、フイゴ滝から戻る途中で、カメラに着けていたクイックシューを紛失してしまいました (ToT)。

フイゴ滝と鳥居滝。
同じ水系に二つのくぐり滝は記憶にありません。支流と本流と、暗と明、一筋と二筋………できれば贅沢に時間を費やして触れ合いたい滝でした。

満ち足りた気持ちで駐車場に。
相棒が『お疲れ』って。

この開けたスペースから『ふいご滝200m』の堰堤までは数百メートル。悪路なので相棒では行けませんでした。堰堤を渡らず、右岸の薄い踏み跡を辿ると10分ほどでフイゴ滝です。

この後ですが………
行程では剣山スーパー林道をそのまま奥に進み、北の阿波市方面の滝をめぐる予定でしたが、既にタイムアップ。この先の林道は悪路との情報だったので、徳島市内方面に素直に戻ることにしました。

月ヶ谷温泉 月の宿♨️
ほぼ貸し切りのお風呂にゆっくりと浸かり、冷えた身体は芯から温まりました。

こだわりとんかつ 山かつ 山城店
あじ豚ロース定食特大。美味しいとんかつを 300g、サラダバーも種類が豊富で満足しました。

今宵の車中泊は高知に変更。
ぐるっと高松を経由して、夜の高速道路を南国I.Cに向かいました。


【まとめ】

◯2021.11.19 ひとりで

◯天気は晴れ、気温低下。

◯慢心の勘違いで、無名滝ひとつ。

◯奇瀑なフイゴ滝、艶かしい岩肌。

◯本流の鳥居滝は造形美。

◯二つのくぐり滝を堪能した。


◯訪れた滝

○フイゴ滝:徳島県 勝浦郡 上勝町

○鳥居滝:同上