春、再開の滝旅 ④

宇賀渓の前半………の続きです。

魚止滝の分岐を過ぎると、遊歩道は登りになります。
岩場を登りますが砂岩は良くグリップしていたので、足への負担は幾分、軽かったです。

ただ、岩が荒いサンドペーパーのようで、ジャリジャリって指を擦って、あっという間に流血してしまいました。

グローブしなかったのが悔やまれました。
横着してはダメですね (>_<)。

金山登山道との分岐、谷に沿って奥の砂山・長尾滝方面に進みます。

急登を登りきってからも、谷あいの気の抜けない歩行が続きます。

そして谷底からは燕滝の誘惑の滝音が、「来れるものなら来てみなさい」と聞こえてきます。

蛇谷の五階滝に到着しました。最上階がチラッと見えてますね。

名前のとおりの滝ですが、全景を見ることができない滝でもあり、「それは何階?」を特定するのが難しいです。

今回は一流の滝ヤさんである、えだ2さんとルミさんの情報を参考にさせていただき、各階を上から最上階(5階)→1階と括って表記します。

因みに、チラ見の最上階≒1段目は連瀑で、左岸を巻いて見に行くようです。行きませんでしたが………。

五階滝 4階の上段
端整な滝、茶色の繊細な模様の岩壁が素晴らしいですね。

あと……美味しい鍋でもできそうな、釜。滝と滝つぼのバランスが良いですね。「釜」という言葉がぴったりです。

瞬間ではわかりずらい水線も、残像だと不規則な岩壁の仕業が良くわかります。

五階滝 4階全景
上段を溢れ出た水は下段を経て釜に溜まります。

つまり4階部分は上下に別れた滝と括られます。

その4階部分の釜の縁が、遊歩道の通路になっています。ここの渡渉は、万一増水したらかなり危険なポイントです。

通路の下から、3階部分の連瀑が始まります。

くねくねと流れ落ち、その先は明らかに落差のある、2階部分の滝の落ち口。

もう少し下って。

小さな滝。

捻れた滝。

五階滝 3階全景
3階部分の全景です。ピンクの方が立っているのが落ち口、あっ、イチカメさんも写ってますね。

で、きゅきゅッ (足がすくむ音)。

五階滝 2階落ち口
2階部分の落ち口です。写真では谷の奥行きと高さが表現できていませんが、遥か眼下に岩間の蛇谷が続いていきます。

もうちょい前に………あそこがムズムズしてきます。水が奈落の底に落ちていきます。更に見えないその先に1階部分があり、蛇谷はそこで燕滝と出合っているようです。

落ち口の右岸には、鎖が張ってあり。

恐々、覗いてみれば、ここは一流の滝ヤさん、沢ヤさんの世界であると納得です。

斜面をよじ登って、遊歩道に復帰しました。

あとはひたすら長尾滝を目指します。

なかなかワイルドなところもありました。

沢筋に出ると数度の渡渉、まだ水は冷たいので消極的にバシャバシャと。

そして水がねぇ……優しく澄んでいます。

あとは沢沿いに遡行しますが、何となくのルートは明確でした。

漸く、彼方に長尾滝が見えてきました。

久しぶりの沢筋歩行、足腰に堪えます。イチカメさんには先行していただき、自分はゆっくりと歩き、足を縺れさせながら滝横に倒れこみました。

滝には右岸側から御対面。

うっとり………誰もが絶賛する滝つぼの水です。

滝つぼのまわりには、ハイカーの皆さんがいましたので、暫くここから、しみじみと滝を見ていました。

人が少なくなったところで正面に。

長尾滝
落差30mの長尾滝は、右上から斜に流れてから垂直に落ちるので、それが滝に幅を持たせています。

左手からだとその特徴が消され、一直線に見えてしまいます。

ですので、自分は右側からの眺めが、より美しいと思いました。

時間をたっぷり費やして、ゆっくりと過ごしましょう………イチカメさんとはそんなやり取りをしていました。

滝の左岸のガレ場には梯子があって登山道になっています。

砂山経由で降りてくる方々がちらほら。殆どの方が、「綺麗だね~」と言いつつ数枚の写真を撮って、ちょっと休んで眺めて出発していきます。

岩壁の壁面にびたっとくっついてみました。

この山塊に共通するような茶色く滑らかな凹凸の岩。

その凹凸は水を弄んでいるような………

それで水が元気に見えるのです。

水は着水した瞬間に水飛沫を上げ、白から透明に見えかたが変わります。

滝つぼは、石と、砂と、水没落ち葉のグラデーションに、淡い青の色彩が加わって。

こんな素晴らしい滝を前にしたら、何時までだっていられるし、帰りたくもなくなるし。

今度は目線を下げてみます。

今さらですが「絞り」とはこういうことなのですね (^-^)v。

幾分、人が減ったのを見計らって、滝つぼに入水しました。

南の島でダイビングしているような錯覚に陥りませんか?

水の中に入る意味ですが………

ひゃっこい!っていう感覚のみならず、滝と繋がっているというか、一体感というか………そんな感覚かなって思うのです。

滝に到着して1時間半。間違いなく、この日の誰よりも長く、長尾滝で時間を過ごしました。

ふと見上げると青空は曇り空に置き換わっていました。

そろそろ戻りますか?
どちらからともなく阿吽の空気になって、長尾滝をあとにしました。

帰路は一気に歩いていきます。

下りとは言え、鈍った体力で久々の山歩きは、かなり疲れました。

魚止橋まで戻りました。

白滝吊り橋を渡って、ここで水からあがることになります。

残り少ないルートを楽しむように、滝話しをしながらとぼとぼと林道を歩きます。

16:00 少し前に駐車場に帰着。
ポストの膨大な量の登山届から自分たちの一枚を探しだし、帰着時間を記入して戻しました。

人気の少なくなった駐車場で装備を解き、日帰りのイチカメさんとはここで解散です。

ご一緒いただき、ありがとうございました。
イチカメさんは燕滝にも行かれているので、機会があれば挑戦してみたいと思っています。

予定ではもう一泊して滝旅するつもりでしたが、翌日の予報が早朝から雨。この予報は数日前から頑固に変わらなかったので、仕方なく帰宅することにしました。

そうと決まれば、まずは風呂、温泉。

六石温泉 あじさいの湯♨️
まだ時間も早く男湯は先客が一人、ゆっくりとお湯に浸かることができました。

次に、とんかつ。

海老かつ・とんかつ むさし
とんかつロースと海老かつのミックスの定食。料理が来たとき海老の尻尾が見えなかったので、オーダー間違えたと思ってしまいました。海老かつはプリプリでした。

三重県桑名市から家路に。
とんかつ屋さんを出たのが18:30頃、途中で給油して、東名の渋滞を圏央道に避けて22:30頃に無事帰宅しました。

久々の滝旅、満喫しました。


【まとめ】
◯2021.3.27 イチカメさんと
◯天気は晴れ。
◯雄大な五階滝。
◯安定の綺麗な水、長尾滝。

◯訪れた滝
宇賀渓谷:三重県 いなべ市
○五階滝
○長尾滝