彼は言った、叩くな、泣かすな、嘘つくな


シベリア帰りの頑固な人

彼はある日、母に謝った


悲しそうな顔を見たのはその時の一度だけ


とうもろこしの芯をかじりながら、彼になりきってみた


私は彼に教えてもらいながら名前を漢字で書けるようになり


夕焼け空、山に帰るカラスを数えながら数字を覚えた


彼は神様なんてこの世にはいないと言っていた


髪を切ってあげたとき、彼は始めて私にお礼を言って


『おおきに』


と照れ臭そうに笑った


いつも無口なのに、お酒を飲むと饒舌に語り始める


家を自らの手で一軒建て、家の庭を造った、燈籠も松の岡も池も


私はその庭で遊ぶのが大好きだった


彼が石で作ってくれた猫がいたから


富士山に登った話しを得意げにしてくれた


彼を喜ばせたくて、富士山の絵を沢山書いた



私の好きな金木犀が咲く頃、彼はいなくなってしまった


学校の横の畦道からいつものように帰って来る気がしてたけど


もう帰って来るはずがなかった


泣き止まない私に祖母は言った


『帰りの飛行機に乗ったら、じぃちゃんの一番近くに行けるから寂しくないよ』



じぃちゃん、お願いだから


もう少しだけでいいから


ばぁちゃんを連れて行かないで。




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あいまみ♪