彼女の中にある小さな少女を私は知らない。


『ご飯を食べて下さい』『着替えて下さい』『お薬は飲みましたか?』『お茶を飲んでください』『トイレはまだですか?』


命令と確認をされるかのように過ごす毎日。


私にだってご飯を食べたくない日だって、話したくない日だってある。


私の行動は毎日の様に記録される。


何分歩いたか、どれだけ食べたか。


命令をしてくる彼女達は私の心の中を何も知らない。


私が幼い頃に見た故郷の綺麗な夕日も。


白無垢に袖を通し、赤い紅をさしてお嫁に行ったあの日も。


拙い足取りで私について来る息子の姿も。


桜の咲くころに亡くなった主人の事も。


私の中にある小さな少女をあなたは知らない。




介護実技講習の宿題のアセスメントシートを書きながら思いました。


一人の利用者をピックアップして、彼女の歴史を紐解いていった訳ですが、私は彼女の事を知っているようで何も知らなかったのだと。


ケアプランに従って、時間内に仕事を進めなくてはならない状況で


利用者本意でなくてはならないのに、実際は介護者本意。


介護だけに限らず、人の気持ちを想像する力が乏しくなっている世の中です。


『愛してる』って言わなくちゃわからないですか?


昔の男性はそんな事口に出したりしませんよ。


でも、家族の為に必死で働き、生活を支えようと頑張っていました。


言葉というのは大切なんでしょうが、想像して汲み取る事はもっと大切な気がします。


簡単には言葉に表せないから、絵を描いたり、曲を作ったり、料理を作ったり、仕事を頑張ったり。


何かを人に表そうとするのじゃないでしょうか。


きみさん、ごめんね。


私は何もわかっていなかったよ。


あなたの事をよく知っていると、いい気になっていたのかも知れないよ。


息子の名前も思い出せないあなたが、私の名前を覚えてくれていた日。


それは、それは嬉しい瞬間でした。


出来る事が少なくなった事を嘆かないで下さい。


私はあなたに会えて沢山の感動と笑いをもらいました。


きみさん

何もかも忘れてしまっても


最期の時まで笑って過ごしましょうよ。



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