ブギはサザンのルーツ
「恋のブギウギナイト」
まるで洋楽ディスコの邦題ど真ん中なタイトル。
桑田さんはテイスト・オブ・ハニーの「今夜はブギ・ウギ・ウギ」とかシルヴァースの「ブギ・フィーバー」をインスピレーションとして挙げています。
「Boogie-woogie」とは20世紀初頭に生まれたピアノのブルース音楽ですが、これをカタカナで「ブギウギ」と書いて日本に定着させたのは笠置シヅ子のヒット曲「東京ブギウギ」(1947年)です。
ブギといえば、今回のアルバムには桑田さんがデビュー前に作った「悲しみはブギの彼方に」が収録されています。
また、サザンのファーストアルバムには「女呼んでブギ」、セカンドアルバムには「Let it boogie」が収録されています。
ブギはサザンのルーツなのです。
ダンスフロアで告白
桑田さん曰く「この歌の主人公は、たまたまクラブのような場所で出会った女性を見て、17歳の頃の初々しい気持ちにもどっていく・・・」
ディスコ世代のおっさんがクラブに行ったということでしょうか。
「あの時代(とき)は天国だった」と過去を振り返ってます。
キミとROCKを味わい
「口説き文句」はDance、、、ね。
ディスコティークで寄り添い
もうウキウキ Space and Time
ボクとBUMPを踊ろう
コレが最後のChance、、、ね。
チューブトップに欲情
もう心はSeventeen
ノリ良く エロく 大好きなタイプ
狙うよ Lock on you baby
踊り疲れて眠るまで
キミを見ていたい
愛の鼓動をTOPに入れて Woo woo
恋のブギウギSTEPを踏んで Woo woo
Ahh 素直になってイイじゃない
ヤル気になっていこうじゃない
お尻をシェイクして Here we go
踊らにゃSong!!
Ahh あの時代(とき)は天国だった
ところで、マドンナに「コンフェッション・オン・ア・ダンスフロア」(ダンスフロアで告白)という大ヒットアルバムがあります。
自由と自己解放の場であるダンスフロアで名声、愛、信仰、後悔などパーソナルな感情を告白するマドンナの傑作アルバム、桑田さんのお気に入りでもあります。
「恋のブギウギナイト」も舞台はダンスフロア。
サザン版「ダンスフロアで告白」です。
私は、マドンナの「コンフェッションズ~」に収録された「Hung Up」が「恋のブギウギナイト」に最も影響を与えた楽曲ではないかと思います。
昭和ディスコ+令和EDM
「恋のブギウギナイト」を桑田さんは「ディスコ+令和EDM」と言われました。
EDMとはエレクトロニック・ダンス・ミュージックの略です。
「ノリはいいけど情緒的には切なくもある」と桑田さん自身仰せの通り、洋楽ディスコ、EDMに日本の伝統芸能である能楽の掛け声と鼓を鳴らし、多国籍を演出します。
ドラマ「新宿野戦病院」の主題歌でしたが、まさに歌舞伎町の多人種エリアを体現するに相応しいナンバーです。
ところでまたマドンナの「コンフェッションズ」の話になりますがこのアルバムに収録された大ヒットシングル「Hung Upも昭和ディスコとEDMの融合でした。アバの「ギミー!ギミー!ギミー!」がサンプリングされているのです。
また、「コンフェッションズ・ツアー」は舞台芸術として極めて高い完成度を誇ったパフォーマンスを披露しました。
桑田さんはマドンナをベンチマークとして、いかにサザンらしいEDMでエロスを展開しマドンナの向こうを張るか模索したのではないでしょうか。
音楽的なEDM+の融合然り、ステージ、PVにおけるエロティックなパフォーマンス然り。
マドンナとサザン、それぞれが表現するエロスの違いに着目するとこの曲がより一層楽しめるかと思います。