アルバム「葡萄」(2015)10曲目に収録。

ボーカルは原由子さん。

サザンのアルバムには必ず原さんがリードボーカルを務めるナンバーが入っています。

あるいは、原さんが歌う曲が入っていればそれでサザンのアルバムになり、もはやそこしかサザンと桑田ソロを区別するものはありません。


ポップスから歌謡曲まで見事に歌いこなす原さん。

今回は歌謡曲、大人の女性の失恋がテーマです。

桑田さんのライナーによると「かつては全盛期にあった歌手」(桑田佳祐「葡萄白書」)が主人公とのこと。

「葡萄」に収録なのでワイン🍷を持ち出すなんて洒落が効いてます。



女ごころは
恋の魔法が解けて
別れ際に泣いてすがる
そんな自分が容赦(ゆる)せない

ワイングラスに
言い訳注ぎながら
酔えば悲しい 涙ホロリ
だけど未練はないわ


いつの日か互いの愛が
消えたのを知ったあの時

他人の目の中で
愛し合うフリして
孤独なままであなたに抱かれてた







マイナー調の歌謡曲でメロディは「世に万葉」収録の「ポカンポカンと雨が降る」の姉妹品です。

大きな違いはアレンジですね。

「ポカン」は、歌謡曲の意匠をまといつつもテクノロジーと四つに組み、よく聴けば斬新な音の断片が散りばめられています。

一方「ワイングラス」は「壮大なビッグ・バンド」を従え、昭和歌謡のイメージを狙います。



「いつもなら彼女は「鎌倉物語」や「私はピアノ」などを、キーボードを弾きながら歌うのだが、今回はもしライブで演奏するのなら、是非ともハンドマイクで歌ってもらうぐらいの、ちょっと大仕掛けのレビューみたいな世界観の曲を提供してみようと考えた。」(桑田佳祐「葡萄白書」)


特にブリッジの盛り上がりは聴きどころです。

サポートメンバーとして、管楽器の山本拓夫、金原千恵子ストリングスなど同じみの面子が参加しています。

サザンオールダーズ&オールスターズの演奏を堪能できます。