新生サザンを標榜したアルバム「葡萄」にあってこの「彼氏になりたくて」は、いつも通りのサザンを堪能できるナンバーです。

いわゆる失恋のバラード


「彼氏になりたくて映画のように口説きたくてキメたのに何故かロンリー」ということで告白したけどフラれてしまったようです。


Baby, baby 夜毎夢の中で
Say you love me 見つめていたい
あの吐息まじりの
甘い言葉でイカせてよ

Bye bye, baby シャボン玉みたいに
壊れて消えた愛
窓ガラスに映る
惨めな恋の抜け殻よ


君の彼氏になりたくて
命に代えたって
空のブルーに 目が眩んで
抱き寄せた 裸のエンジェル

Tell me, tell me フラれたその訳を
もう恋なんかしない
この広い世界で
奇跡みたいな ひと目惚れ


ひとりぼっちの Birthday Party
悲しき Love Story
映画のように 口説きたくて
キメたのに 何故かロンリー

君に届かぬ Invitation
涙の Celebration
枯れ葉のように 風に舞って
人混みに消えた 招待状(レター)


春を待ちわびたように
君は旅に出た
そして夏が過ぎ
人恋しさに誰の元へ行く?







桑田さんによるとこの曲の主人公は「小柄な男で、二枚目と三枚目の中間ぐらいで、さほどモテる方ではない歌手」(桑田佳祐「葡萄白書」)だそうです。

歌手が主人公と聞くと、自伝的要素があるのかとつい勘繰ってしまいます。


彼は、「Birthday party」「Invitation= 招待状」を彼女に渡したかったけれど叶わなかった、そして「春を待ちわびたように君は旅に出た」

桑田さんの誕生日は2月26日でした。

春はもうすぐですね。




ストリングスが印象的なバラード。

アレンジはお馴染み島健さんです。

これまでのサザンは、アルバム最後の一曲をストリングスナンバーで閉める傾向にありましたが、葡萄では「彼氏になりたくて」「蛍」「平和の鐘が鳴る」「はっぴいえんど」と随所で使われています。

まるでストリングスこそ新たなサザン印だと言わんばかりです。

桑田さんのAメロ、Bメロにおける甘くささやくようなボーカルも聴きどころです。