映画「稲村ジェーン」のサントラ4曲目は桑田作曲による本格的なインストナンバー。

 

本格的と呼ぶのは、この曲で初めて桑田氏がインストを真面目に作ったと思えるからだ。

 

以前も桑田氏作曲によるインストはあったが、時間が短かったり、聞き取り困難な歌詞が付せられたり、どこか遊び半分の印象があった。

 

「稲村ジェーン」の主演女優は清水美砂。その名にちなんで「美しい砂のテーマ」と名付けられた。






 

いわば主演女優賛歌だが、インストで讃えるあたりが心にくい。
言葉にならない想い、本来、愛とはそういうもので、愛していると言ったとたん、その想いは目減りしてしまう。

リラックスした、かつ軽快な演奏で、映画に登場したミゼットのように、夏の海辺を車でトコトコ走るのにピッタリのBGMである。

 

歌詞カードのクレジットを見るとアレンジ:小林武史と桑田佳祐、ギター、ベース:小倉博和、キーボード:小林武史、パーカッション:北村健太となっており、サザンオールスターズの姿はない。

 

サザン以外のメンバーによる演奏、さらにインストのためか見過ごされがちなナンバーだが侮るなかれ。

 

絶頂期の桑田がタクトを振れば、あらゆる音楽に魔法が宿る。