消えた夏灯 戻れない乙女

恋におぼれた日々は Oh, oh

I don't wanna tell you ”so long, babe”

 

夢のうつろいに 身をまかせながら

誰を待つ夜のしらべ Oh, oh

I believe ・・・”Hold on, babe”

 

なぐさめになりそうもない

砂の埃ろぶSunshine road

面影も通り過ぎてく

Dar-da-dan-Yeah

 

泣いたりしないで 大人になれない

甘くて愛しいAh, ah

ひまわりが揺れる 夏なのに

Loving you, Baby

 








1989年6月7日リリース、サザン26枚目のシングル。同年に公開された映画「彼女が水着にきがえたら」の主題歌となり、1990年1月13日発売のアルバム「Southern All Stars」にも収録された。

 

サザンは、この曲で初のオリコンチャート1位を獲得した。

(桑田個人ではすでにKUWATA BAND「スキップ・ビート」でオリコン一位を記録している)

 

1988年に発売され大ヒットしたタカラトミーの「フラワーロック」(サングラスをかけた花が音楽に合わせて踊るおもちゃ。「ひまわりが揺れる夏なのに」と歌詞にあるがまさにそんな感じで、850万個を世界中で売り上げた。)そのサボテン仕様が「さよならベイビー」シングル盤のジャケットに使われた。背景は真っ白な入道雲と青い空。

「Because the sky is blue, it makes me cry (空が青いから、泣きたくなる)」というビートルズ「Because」の心情がこの曲で再び変奏されている。

 

「OH, GIRL」同様、「君」に語りかける(「君は心まで抱かれてはいない」、「君だけが辛いわけじゃない」)2人称の失恋ソング。

 

前曲「MARIKO」では映画「彼女が水着にきがえたら」の主人公、田中真理子への想いを遊び心たっぷりのScat Jazzで綴った。

「さよならベイビー」では一転、歌謡曲ともいうべきマイナー調のメロディをテクノロジーの器に盛りつけた。この曲を聴くと、夏の湿った空気と失恋の涙に湿った心とで息も詰まりそうな悲しみが蜃気楼のように立ち上がる。

 

このアレンジを一つの完成形として認めつつ、しかし、個人的には多少の違和を感じることも認めなければならない。

 

このような歌謡曲のメロディはもう少しシンプルなアレンジで聴いてみたい。

「クワタを聴け!」の中山康樹氏は「逢いたくなった時に君はここにいない」を「『さよならベイビー』の完成形ではないだろうか」と書いているが、その通りだと思う。

 

「さよならベイビー」と「逢いたく~」の違いと言えば、前者はテクノロジーの、後者はバンドサウンドの意匠をまとっていることだ。

どちらが裸のメロディを引き立たせるかと言えば、後者の方ではないだろうか。

 

「ロックンロールってのは筋肉で叩きだすもんだ」と言ったのはキースリチャーズだが、この名言は多くの曲に当てはまる。

コンピューターではなく、サザンが奏でる「さよならベイビー」を聴いてみたいと思い始めて28年(!)が経つ...



 

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