みなさん、こんばんは!
平野武蔵です!
暖かくなってきましたねえ。
唐突ですが、私の今年の目標は「早朝に走る」でした。
しかし、ランニングウェアを一式揃え、ナイキのアプリ「Running」をiPhoneにダウンロードして早2ヶ月、未だ走るに至ってません・・・・。
花粉のシーズンも終わりを迎えつつあるので、そろそろ走ろうかなあと考えている今日この頃です。
さて、今夜は1986年12月5日リリース、KUWATA BANDのライブアルバム「ROCK CONCERT」について熱く語っていきたいと思います。
このアルバムには、1986年9月26日名古屋市民会館、10月8日、9日渋谷公会堂で行われた公演が収録されてます。
KUWATA BANDがリリースしたほとんどの楽曲+カバー曲の構成で全24曲を収録。
アルバムジャケットはスージー甘金さんによる素敵な4コマ漫画です。スージーさんもまたアメリカのポップカルチャーに魅せられた日本人の一人であり、アメリカンロックを志向したKUWATA BANDのジャケットにはもってこいのアーティストだったと言えるでしょう。
このアルバムの価値は、何と言っても桑田氏のキャリアにおける唯一のライブアルバムという点にあります。
桑田氏はサザンにおいても、ソロにおいてもライブアルバムを1枚もリリースしておりません。
その理由は敬愛するビートルズがライブアルバムをリリースしなかったからです。
ビートルズがキャリアの途中でライブをやらなくなり、スタジオレコーディングだけのバンドとなったのは周知の通りです。だからかどうかは分かりませんが、ビートルズはライブアルバムを1枚もリリースしていません。それが意図的なのか、あるいはライブ音源そのものが(初期のものを除けば)そもそも存在しなかったからなのかはここでは重要ではありません。重要なのは結果としてビートルズがライブアルバムをリリースしなかったことであり、ライブをやらないことでその分スタジオワークに専念できたことです。
そのビートルズの特異とも言えるアーティスト活動が桑田氏に影響を与え、彼もまたスタジオで己の芸術を高めることを最重要課題とし、意図的にライブアルバムを残すことはしませんでした。
ライブとスタジオでは当然、同じ曲でもその音形が異なります。スタジオとライブ、同じ曲の違った音形が2つ残るのはスタジオ至上主義の桑田さんが望むところではなかった。言い換えれば、ライブアルバムが残るのはスタジオアルバムを完成形とする彼のプロフェッショナリズムが許さなかった。
ビートルズの場合、ライブアルバムが「残らなかった」と言えるかもしれませんが、その結果に影響を受けた桑田氏はライブアルバムを「残さなかった」と言えます。
しかし、KUWATA BANDは違います。KUWATA BANDのコンセプトは「アマチュアリズム」と「遊び心」です。サザンやソロにおける厳格なまでのプロ意識から解放された桑田氏は、KUWATA BANDにおいて好きな曲をカバーすることで遊び心を満たし、躊躇うことなくライブアルバムをリリースします。それがこの「ROCK CONCERT」と言うわけです。
では、このアルバムにのみ収録されている曲を中心に解説していきたいと思います。
disc : ONE
1. SMOKE ON THE WATER~M.C.
ディープ・パープルのカバー。1972年にリリースされたハードロックの名曲。
ディープ・パープルのメンバーが運悪く遭遇した火事をテーマにしています。
エレキギターを手にしたことがある方なら、一度はこの曲のリフを弾いたことがあるはずです。初心者でも弾ける最高にカッコイイ、名リフ。
原曲に忠実なカバーとなっています。
MCでは「お待ち~」という当時はやっていた明石家さんまのギャグをカバーしています。
桑田氏とさんまは仲良しで、「さんまのまんま」というトーク番組のテーマ曲に「FEEDBACK」を提供しています。
2. YOU NEVER KNOW
3. RED LIGHT GIRL
4. BELIEVE IN ROCK'N ROLL
5. DEVIL WOMAN~M.C.
6. MERRY X'MAS IN SUMMER
7. ALL DAY LONG
8. ZODIAK
9. 天国への扉
「It's gettin' dark, too dark for me to see
I feel like I'm knockin' on heaven's door」
「暗くて何も見えなくなってきた
天国への扉を叩いている気分だ」
1973年リリース、ボブ・ディラン「KNOCKING ON HEAVEN'S DOOR」のカバー。エリック・クラプトンもカバーしています。
この曲は映画「ビリー・ザ・キッド」に提供された楽曲で、オリジナルバージョンは、昇天しつつあるガンマンの魂を歌ったアコースティック調のしっとりとしたバラードです。クラプトンはこれをレゲエ調にアレンジしてカバーしています。この曲をレゲエにしてしまう発想が素晴らしい秀逸なカバーとなっています。
KUWATA BANDヴァージョンはキーボードが印象的な、原曲に忠実ではありませんが、原曲の雰囲気を損なうことのない愛情あふれるカバーとなっています。
オリジナルバージョンのいい動画がなかったので、クラプトンバージョンでお楽しみください。
10. LIKE A ROLLING STONE
「How does it feel
How does it feel
To be without a home
Like a complete unknown
Like a rolling stone」
「どんな気分だい
家がないって
まったく誰にも知られないって
転がる石みたいって」
これまたボブ・ディランのカバー。1965年リリース。
アル・クーパーのオルガンを大々的にフィーチャーしたロックナンバーを、KUWATA BANDはハードロックのレベルにまで改変しています。
河内氏のギターソロにおける早弾きが見事。
観客とのコール・アンド・レスポンスを挟み、次曲「風に吹かれて」になだれこみます。動画はいいのがなかったので割愛させていただきます。
これに入ってます↓
追憶のハイウェイ61/Sony Music Direct

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11. 風に吹かれて
「The answer, my friend, is blowin' in the wind.
The answer is blowin' in the wind」
「答えは、友よ、風に舞っている
答えは風に舞っている」
3曲立て続けにディランのカバーです。この曲「BLOWIN' IN THE WIND」のリリースは1963年。「LIKE A ROLLING STONE」とともにディランの代表曲です。
原曲はアコギ一本の淡々としたフォークですが、これをアップテンポなハードロックに仕立て上げています。ここまで来るとほとんどオリジナルの域です。
個人的にはこの曲と前曲「LIKE A ROLLING STONE」を聴くためだけにこのアルバムを買ってもいいぐらい、かっこいいカバーだと思います。
12. SKIPPED BEAT
スタジオバージョンにはない、スウィングジャズのような前奏から始まります。
disc : TWO
1. ONE DAY
2. I'M A MAN
3. FEED BACK
4. SHE'LL BE TELLIN'
5. PARAVOID
この曲でリズム隊のメンバー(琢磨仁、今野多久郎、松田弘)を紹介し、一人一人がソロパフォーマンスを披露します。
いずれも素晴らしいテクニックを聴かせてくれますが、ここはやはりヒロシのドラムソロでしょう。
彼がいかに優れたドラマーだったか、このソロを聴けば明らかであり、それがこのような形で保存されているのはファンとしてうれしい限りです。
6. BOYS IN THE CITY
7. GO GO GO
8. 鰐
9. BE MY BABY
1963年にリリースされたザ・ロネッツの名曲をカバー。この曲のプロデューサーはMr. ウォール・オブ・サウンド、フィル・スペクター。
アレンジャーとしての桑田佳祐に最大の影響を与えたのはフィル・スペクターではないでしょうか。
「BAN BAN BAN」、「クリスマス・ラブ」、「あなただけを」他、桑田さんがフィル・スペクターの分厚いアレンジを意識して作った曲は数多くあります。
原曲のメロディとコーラスはそのままに、キーボードとエレキギターをフィーチャーしロック調のアレンジを施しています。
10. BAN BAN BAN
11. 神様お願い
12. HEY JUDE
「Hey Jude, Don't make it bad
Take a sad song and make it better
Remember to let her into your heart
Then you can start to make it better」
「ジュード、くよくよするなよ
悲しい歌も明るくするんだ
彼女を受け入れろよ
そうすればうまくいくさ」
1968年リリース、ビートルズの名バラード。作詞、作曲はポール・マッカートニー。
ジョンと彼の前妻シンシアとの息子、ジュリアンを励ますために作った曲と言われています。
ジョンがヨーコにうつつを抜かしたために、結局、シンシアとは離婚することになりました。
ジュリアンのショックを心配したポールは車で二人を訪ねます。その道中に作ったのがこの曲というわけです。ポールって優しい人ですね。
みなさんはジョン派ですか? ポール派ですか? 桑田さんはミュージシャンの資質としてポール派と言えるでしょう。だからというわけではないですが、私も断然、ポール派です。
KUWATA BANDはこの美しいバラードを最後の「nananana~」のコーラスまで原曲に忠実にカバーしています。やはり聖域は侵せないのでしょう。
この後、演奏を終えたKUWATA BANDのメンバーがステージ上でファンサービスをしている様子に続き、「以上を持ちまして本日のコンサートはすべて終了いたしました」というアナウンスメントでこのアルバムは終わります。
というわけで、以上を持ちまして本日のブログは終了となります。
臨場感たっぷりのライブアルバム、KUWATA BAND「ROCK CONCERT」。
皆さんもぜひ聴いてみてください。
それでは、みなさんまたお目にかかる日まで。
今夜のお相手は平野武蔵でした。
またね!
平野武蔵です!
暖かくなってきましたねえ。
唐突ですが、私の今年の目標は「早朝に走る」でした。
しかし、ランニングウェアを一式揃え、ナイキのアプリ「Running」をiPhoneにダウンロードして早2ヶ月、未だ走るに至ってません・・・・。
花粉のシーズンも終わりを迎えつつあるので、そろそろ走ろうかなあと考えている今日この頃です。
さて、今夜は1986年12月5日リリース、KUWATA BANDのライブアルバム「ROCK CONCERT」について熱く語っていきたいと思います。
このアルバムには、1986年9月26日名古屋市民会館、10月8日、9日渋谷公会堂で行われた公演が収録されてます。
KUWATA BANDがリリースしたほとんどの楽曲+カバー曲の構成で全24曲を収録。
アルバムジャケットはスージー甘金さんによる素敵な4コマ漫画です。スージーさんもまたアメリカのポップカルチャーに魅せられた日本人の一人であり、アメリカンロックを志向したKUWATA BANDのジャケットにはもってこいのアーティストだったと言えるでしょう。
このアルバムの価値は、何と言っても桑田氏のキャリアにおける唯一のライブアルバムという点にあります。
桑田氏はサザンにおいても、ソロにおいてもライブアルバムを1枚もリリースしておりません。
その理由は敬愛するビートルズがライブアルバムをリリースしなかったからです。
ビートルズがキャリアの途中でライブをやらなくなり、スタジオレコーディングだけのバンドとなったのは周知の通りです。だからかどうかは分かりませんが、ビートルズはライブアルバムを1枚もリリースしていません。それが意図的なのか、あるいはライブ音源そのものが(初期のものを除けば)そもそも存在しなかったからなのかはここでは重要ではありません。重要なのは結果としてビートルズがライブアルバムをリリースしなかったことであり、ライブをやらないことでその分スタジオワークに専念できたことです。
そのビートルズの特異とも言えるアーティスト活動が桑田氏に影響を与え、彼もまたスタジオで己の芸術を高めることを最重要課題とし、意図的にライブアルバムを残すことはしませんでした。
ライブとスタジオでは当然、同じ曲でもその音形が異なります。スタジオとライブ、同じ曲の違った音形が2つ残るのはスタジオ至上主義の桑田さんが望むところではなかった。言い換えれば、ライブアルバムが残るのはスタジオアルバムを完成形とする彼のプロフェッショナリズムが許さなかった。
ビートルズの場合、ライブアルバムが「残らなかった」と言えるかもしれませんが、その結果に影響を受けた桑田氏はライブアルバムを「残さなかった」と言えます。
しかし、KUWATA BANDは違います。KUWATA BANDのコンセプトは「アマチュアリズム」と「遊び心」です。サザンやソロにおける厳格なまでのプロ意識から解放された桑田氏は、KUWATA BANDにおいて好きな曲をカバーすることで遊び心を満たし、躊躇うことなくライブアルバムをリリースします。それがこの「ROCK CONCERT」と言うわけです。
では、このアルバムにのみ収録されている曲を中心に解説していきたいと思います。
disc : ONE
1. SMOKE ON THE WATER~M.C.
ディープ・パープルのカバー。1972年にリリースされたハードロックの名曲。
ディープ・パープルのメンバーが運悪く遭遇した火事をテーマにしています。
エレキギターを手にしたことがある方なら、一度はこの曲のリフを弾いたことがあるはずです。初心者でも弾ける最高にカッコイイ、名リフ。
原曲に忠実なカバーとなっています。
MCでは「お待ち~」という当時はやっていた明石家さんまのギャグをカバーしています。
桑田氏とさんまは仲良しで、「さんまのまんま」というトーク番組のテーマ曲に「FEEDBACK」を提供しています。
2. YOU NEVER KNOW
3. RED LIGHT GIRL
4. BELIEVE IN ROCK'N ROLL
5. DEVIL WOMAN~M.C.
6. MERRY X'MAS IN SUMMER
7. ALL DAY LONG
8. ZODIAK
9. 天国への扉
「It's gettin' dark, too dark for me to see
I feel like I'm knockin' on heaven's door」
「暗くて何も見えなくなってきた
天国への扉を叩いている気分だ」
1973年リリース、ボブ・ディラン「KNOCKING ON HEAVEN'S DOOR」のカバー。エリック・クラプトンもカバーしています。
この曲は映画「ビリー・ザ・キッド」に提供された楽曲で、オリジナルバージョンは、昇天しつつあるガンマンの魂を歌ったアコースティック調のしっとりとしたバラードです。クラプトンはこれをレゲエ調にアレンジしてカバーしています。この曲をレゲエにしてしまう発想が素晴らしい秀逸なカバーとなっています。
KUWATA BANDヴァージョンはキーボードが印象的な、原曲に忠実ではありませんが、原曲の雰囲気を損なうことのない愛情あふれるカバーとなっています。
オリジナルバージョンのいい動画がなかったので、クラプトンバージョンでお楽しみください。
10. LIKE A ROLLING STONE
「How does it feel
How does it feel
To be without a home
Like a complete unknown
Like a rolling stone」
「どんな気分だい
家がないって
まったく誰にも知られないって
転がる石みたいって」
これまたボブ・ディランのカバー。1965年リリース。
アル・クーパーのオルガンを大々的にフィーチャーしたロックナンバーを、KUWATA BANDはハードロックのレベルにまで改変しています。
河内氏のギターソロにおける早弾きが見事。
観客とのコール・アンド・レスポンスを挟み、次曲「風に吹かれて」になだれこみます。動画はいいのがなかったので割愛させていただきます。
これに入ってます↓

11. 風に吹かれて
「The answer, my friend, is blowin' in the wind.
The answer is blowin' in the wind」
「答えは、友よ、風に舞っている
答えは風に舞っている」
3曲立て続けにディランのカバーです。この曲「BLOWIN' IN THE WIND」のリリースは1963年。「LIKE A ROLLING STONE」とともにディランの代表曲です。
原曲はアコギ一本の淡々としたフォークですが、これをアップテンポなハードロックに仕立て上げています。ここまで来るとほとんどオリジナルの域です。
個人的にはこの曲と前曲「LIKE A ROLLING STONE」を聴くためだけにこのアルバムを買ってもいいぐらい、かっこいいカバーだと思います。
12. SKIPPED BEAT
スタジオバージョンにはない、スウィングジャズのような前奏から始まります。
disc : TWO
1. ONE DAY
2. I'M A MAN
3. FEED BACK
4. SHE'LL BE TELLIN'
5. PARAVOID
この曲でリズム隊のメンバー(琢磨仁、今野多久郎、松田弘)を紹介し、一人一人がソロパフォーマンスを披露します。
いずれも素晴らしいテクニックを聴かせてくれますが、ここはやはりヒロシのドラムソロでしょう。
彼がいかに優れたドラマーだったか、このソロを聴けば明らかであり、それがこのような形で保存されているのはファンとしてうれしい限りです。
6. BOYS IN THE CITY
7. GO GO GO
8. 鰐
9. BE MY BABY
1963年にリリースされたザ・ロネッツの名曲をカバー。この曲のプロデューサーはMr. ウォール・オブ・サウンド、フィル・スペクター。
アレンジャーとしての桑田佳祐に最大の影響を与えたのはフィル・スペクターではないでしょうか。
「BAN BAN BAN」、「クリスマス・ラブ」、「あなただけを」他、桑田さんがフィル・スペクターの分厚いアレンジを意識して作った曲は数多くあります。
原曲のメロディとコーラスはそのままに、キーボードとエレキギターをフィーチャーしロック調のアレンジを施しています。
10. BAN BAN BAN
11. 神様お願い
12. HEY JUDE
「Hey Jude, Don't make it bad
Take a sad song and make it better
Remember to let her into your heart
Then you can start to make it better」
「ジュード、くよくよするなよ
悲しい歌も明るくするんだ
彼女を受け入れろよ
そうすればうまくいくさ」
1968年リリース、ビートルズの名バラード。作詞、作曲はポール・マッカートニー。
ジョンと彼の前妻シンシアとの息子、ジュリアンを励ますために作った曲と言われています。
ジョンがヨーコにうつつを抜かしたために、結局、シンシアとは離婚することになりました。
ジュリアンのショックを心配したポールは車で二人を訪ねます。その道中に作ったのがこの曲というわけです。ポールって優しい人ですね。
みなさんはジョン派ですか? ポール派ですか? 桑田さんはミュージシャンの資質としてポール派と言えるでしょう。だからというわけではないですが、私も断然、ポール派です。
KUWATA BANDはこの美しいバラードを最後の「nananana~」のコーラスまで原曲に忠実にカバーしています。やはり聖域は侵せないのでしょう。
この後、演奏を終えたKUWATA BANDのメンバーがステージ上でファンサービスをしている様子に続き、「以上を持ちまして本日のコンサートはすべて終了いたしました」というアナウンスメントでこのアルバムは終わります。
というわけで、以上を持ちまして本日のブログは終了となります。
臨場感たっぷりのライブアルバム、KUWATA BAND「ROCK CONCERT」。
皆さんもぜひ聴いてみてください。
それでは、みなさんまたお目にかかる日まで。
今夜のお相手は平野武蔵でした。
またね!
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