自治体のディスクロージャー基準は地方6団体が提言すべき(会計基準の設定主体論とかそういう話)
<記事公開後に文言を多少修正しています。>
財務諸表の提示、情報公開など、自治体は各種のディスクロージャー(情報公開)を行います。しかし、この判断基準の作成権は基本的に地方ではなく、国や国の一部門である総務省にあります。
また、地方の財務諸表の作成については、総務省の審議会が判断基準を実質的に作成しています。よって、地方が最低限、何を住民に知らせるべきかという基準は国にしか決められないのです(基本的には国の役人と審議会の学者で作っています)。
もちろん、国の基準以上のディスクロージャーや国とは異なった基準でのディスクロージャーを行うことは可能ですが、それにもコストがかかります。そして、そのためのコストを負担することについて役所は逃げ腰です。国の基準によるものは喜んで、あるいはやむなく作るし、そのためのマニュアルが国や都道府県によって準備されているため、やりやすいのです。
しかし、住民が本当に求める情報を開示していくためには、情報開示の基準は住民に近いところから提案されなければならないのです。それは地方六団体の関連団体としてかもしれませんし、あるいは民間の独立団体かもしれません。
もっとも、これを理解している人間は地方自治に関わる人々には皆無です。
六団体の頭目格の知事会からして、ディスクロージャー基準の設定権を地方に渡すように要望するのではなく、内容について政府に要望しています。
会計基準の設定主体はその会計基準を利用する側に近いところで設定すべきだという考え方は、実は民間では形式的には実現しています(会計基準委員会。FASJ。アメリカではFASB。もっとも、その中枢は審議会系の御用学者などで占められています。実質部分の質的な向上は今後の課題です)。これは、欧米が日本に求めて実現した会計ビッグバンの一端であり、財務省は大慌てで対応したのです。それ以前は、企業会計については企業会計審議会という審議会が掌握していました。
そんなわけで、今日は「さわり」にとどめますが、会計基準同様、さまざまなディスクロージャー基準は運用側がリーダーシップを持つとともに責任を持つべき、というのは結構、日本の、特に役所の外では基本中の基本なのです。