働き方の多様化に対応するため、2020年1月から所得税が見直される。年収が850万円を超える会社員や公務員などが増税となり、フリーランスや自営業者の大半が減税になる。収入が多い年金受給者も増税になる。

 

 

 

 

 

日本は5段階の階級社会に! 下層階級は900万人、衝撃の貧困率38.7%

(著:橋本 健二)

2018.03.19

「格差」という言葉はたとえ差(=溝)があってもチャンスとやる気があれば埋められるかもしれない……そう思わせる雰囲気も漂わせていましたが、もはやそれは幻になっています。「格差」は単に経済的な差だけではありません。全社会的な差であり、疾病率を考慮に入れれば人間的な生活、生存自体の差となっています。

 

「持てる者」は総じて教育機会、就業機会(地位の相続などを含めて)、健康機会等に恵まれており「ますます持てる者」という優遇(?)の連鎖の中に置かれ、「持たざる者」は真逆の劣悪の連鎖に置かれています。この圧倒的な違いを「乗り越え可能」なようにも聞こえてしまう「格差」という言葉で語っては問題点が見えにくくなってしまいます。

著者がいうように、日本の社会には明らかに「階級社会」となっています。かつて一億総中流という言葉が喧伝されました。そこには当時の世論調査のミスリードだった部分もあったようですが、それはともあれ今では見る影もありません。この本はSSM調査データの精緻な分析に基づいて今の日本でどのような階級が生まれ、固定化されているのかを解き明かしています。さらに加えて、その階級に属する人々はどのような生活意識、政治志向を持っているのかを追究したのがこの本です。

ここで「階級が生まれた」というのは、古典的な階級概念ではとらえられない、新たな階級が出現したからです。

著者によれば日本には5つの階級が存在します。


1.資本家階級(経営者・役員):254万人、就業人口の4.1%。平均世帯年収男性1070万円、女性1039万円。平均資産総額4863万円(金融資産2312万円)。


2.新中間階級(被雇用の管理職・専門職・上級事務職):1285万人。就業人口の20.6%。平均世帯年収男性804万円、女性788万円。平均資産2353万円(持ち家がない人は935万円)。


3.正規労働者階級(被雇用の単純事務職・販売職・サービス職・その他マニュアル労働者):2192万人、就業人口の35.1%。平均世帯年収男性569万円、女性687万円。平均資産総額1428万円(持ち家がない人は406万円)。貧困率2.6%。


4.旧中間階級:806万人、就業人口の12.9%。平均世帯年収587万円。平均資産総額2917万円。貧困率17.2%。


5.アンダークラス(非正規労働者):929万人、就業人口の14.9%。平均世帯年収343万円。平均資産総額1119万円(持ち家がない人は315万円)。貧困率38.7%。