子供の頃、私が住んでいた家の近くに
養鶏場があった
行きは3分帰りは4分(上り坂)

なので養鶏場が惜しまれつつ無くなるまでスーパーで卵を買ったことがなかった

母が実家に帰る時も卵を買い
親戚が遊びにきた時にも卵を買い

卵ってそんな?

って子供の頃は思ってたけど

卵ってそんな!指差し
っていうことを母になって知った

新鮮な卵の美味しさよ
新鮮な卵の有り難さよ

鶏が何千羽いるのか大きな養鶏場の隣の建物で卵を量り売りをしていて、よくお買い物を頼まれた
うちはいつも1キロ

ガラガラっと戸を開けると土間が広がり
その奥にいつもおばちゃんがいた
姿が見えなくても
『すいませ〜ん』というと
奥からいそいそと出てきてくれた

『卵1キロください』

そういうと
『Mでいいね?』と言い秤の上に少し強度のありそうな透明の袋を置き、その中に卵を一つ二つと入れる

私はサイズを言い忘れることがあって
おばちゃんはうちはMとわかってくれてるから話が早いが、時々おじさんの場合があって、Mか Lか聞かれてわからなくなって
間違えてLを買ってしまうこともあった


ビニール袋の上をキュッと縛ってそのまま持って帰る

私は卵を持っています
と言わなくても十分分かる

通りすがりのおばちゃんに
『気をつけてね』とか言われながら上り坂を登る


ある日、母が出かけた日におじいちゃんに卵の買い物を頼まれた

私はローラースケートで遊ぶ予定だった

嫌だと言ったら怒られたので
しぶしぶ私はローラースケートで卵屋さんに向かった

卵を買うまではいつも通り

卵屋のおばちゃんにローラースケートで帰ることを少々止められたけど
脱ぐのが面倒だしローラースケートと卵を持って帰るのも嫌
(昔のローラースケートは靴の上に履くタイプ)

我ながら慎重にいつもの道を帰り、時に横向きになって歩いたり、つま先で歩いたり、いつもの何倍かかるんじゃと思うほどの時間をかけ(脱いだ方が100倍早い)上り坂を終え、あとは我が家までの平坦な道50m

めぐみ、ローラースケートでいざ滑走‼️

なんと、そこであるまじき(なんとなくわかる)

転倒


あんなに
あんなに頑張ったのに

慎重に慎重に
何倍もかけて帰ってきたのに

‥‥

卵‥‥

割れてる‥

全部じゃないけど

ほぼ下
全滅‥‥

痛い‥膝血出てる‥


おじいちゃんに怒られる‥‥


めぐみ半泣きで家に帰る

案の定、お祖父様おキレになられ‥

ローラースケートなんて履いて行くからだ!
もう一回買ってこい!
今すぐ行ってこい!

半泣きのまま

もう一度、卵屋へ


『卵1キロください』

卵屋のおばちゃんが聞いてくれる

『どうしたの?』

私『割っちゃったの(涙)』

おばちゃんは少し微笑みながら
卵を袋に入れ

『持っていきな。お代はいらないよ。』

(涙)


『ありがとうございます』


とぼとぼ帰りながら
2度と
ローラースケートで卵は買いに行かない
と誓った


卵とローラースケートの相性は抜群に悪い


そして
ローラースケートとおじいちゃんの相性も最高に悪い



卵割って膝から血出して
踏んだり蹴ったりしながら
学んだことは
一生わすれないもんだ

指差し