八千代市では先日行った事業仕分けを
一般社団法人構想日本に業務委託しました

業務委託料は198万936円です。
※見積もり時の金額
この業務契約は購買取引のひとつです。

かねてより私は
「購買改革による八千代市の財政再建」
を提言していますので、あえて、ここで申し上げます。
購買の基本は
1、要求(仕様)の明確化
2、比較検討
です。


構想日本との購買取引について
以下の通り分析しました。

1、依頼元(=八千代市)の要求仕様は何だったのか
今回、秋葉市長は
「財政リスクを回避したい。
来年度の35億円の財源不足を何とかしたい。」
という理由で事業仕分けを実施しました。

つまり、八千代市の要求(仕様)はあくまで
八千代市の財政を立て直すことです。

ところが構想日本が委託された業務内容は
「事業仕分け」であって、
八千代市の財政リスクについて
解決策を検討する、
35億円の財源不足についてコンサルティングをする、
といった業務は全く含まれていません。

一方、民間企業は通常、業者に対して「提案依頼書」を
渡し依頼元の要求、その要求の背景、
なぜそのプロジェクトを実施するのか、
実施した後に業者に期待する成果物を明確にします。
業者はいかにしてその要求仕様に応えられるか
価格だけでなく「提案力・質問力・回答力」を
競います。

民間企業は最終的には
「要求仕様の達成率」と
「予算」で業者選定をします。

委託期間に対して取引額が大きい場合は
相手方の財務諸表から経営体制や内部統制能力を
審査する場合も、無論、あります。

市長は今回、構想日本に発注する際
具体的な事業削減目標を
明示していませんので
「事業仕分けを実施する」
という単純な要求仕様に対しては、
構想日本が達成したとある意味言えます。

ただし、財政リスク回避について、
35億円の財源確保は達成率ゼロです。

2、比較検討を実施したのか
八千代市は今回、他の業者に見積もりをとらず(入札を行わず)
随意契約で構想日本に発注しました。
「事業仕分けができるのは構想日本だけ」
という理由です。

有識者仕分け人の確保、対象事業の論点整理、
討議で使用する各種シートの作成など
八千代市の職員だけでは限界があるのも事実です。

しかし、これらの業務ができるのは
本当に構想日本だけなのか?
というと疑問が残ります。

その種の疑問を払しょくするために、
民間企業では必ず比較対象となる別の業者に
同一要求仕様の条件で見積もりと提案書(仕様書)を
出させるのです。


民間企業でも「業者決め打ち」で見積もりをとる場合
があります。緊急、かつ業者に類まれな
特殊技能が求められる場合などです。
例えばアシャンティ語(アフリカ・ガーナの現地語
のひとつ)の日本語同時通訳者などを緊急で手配する
必要があり、日本国内で確保するのが極めて困難
であるときなどです。
しかしこれも経営者や社内に
きちんと業者選定理由について
合理的な説明ができてこその場合です。

見積金額の妥当性確認もしかり。
各項目の価格は適正なのか否か。
価格の構成がざっくりしている場合
複数の目でその総額の妥当性を確認せず
相手方の言い値で契約した可能性が極めて高いです。

以上から、購買の基本ができていない依頼元に対し
注文を受ける方も受ける方だ、
というのが購買改革推進者としての率直な感想です。

なお、物品売買と異なり今回のような
役務の提供(=無形物、実態のない買い物
について何を根拠に支払いを実施するかというと
民間企業では有形の成果物をエビデンス(証拠)として
検収(=納品されたものを検査して
合格したものを受領すること)し、
検収の事実を支払の根拠にします。

構想日本も有形の成果物
として
業務報告書
を遅滞なく八千代市に提出するという契約になっています。

契約期間は今月末ですので、
業務報告書を出さないまま
構想日本が請求書を発行しないか、
検収することなく八千代市が支払いを実施しないか

ウォッチしていきましょう。

198万936円という構想日本が出した
見積金額(内訳)の妥当性については
請求書が出てきた段階で私の分析結果をお伝えします。

このように、要求仕様(決定)、発注、検収(支払)
行為は購買取引において三権分立とされ
恣意的な契約や不正な取引を防止する原則です。

自分が欲しいものを自分で勝手に購入し
組織体から代金を支払う、
ということをしないよう相互に監査するためです。

この監査機能が働かない組織体では、
抜本的なコスト削減はほとんど期待できません


原理原則を常に意識した購買取引は
常に目的を達成することを意識することに
つながります。

私は財源創出、職員の業務効率改善による
市民サービスの向上を最終目的に購買改革を推進し、
八千代市の財政再建を目指します。


なお、この記事の結びになってしまい大変恐縮ですが
この事業仕分けの2日間のために
膨大な資料作成やアテンドでお骨折り下さった
八千代市の職員の皆様、本当にお疲れさまでした。