ごめんなさいね   おかあさん
ごめんなさいね    おかあさん


ぼくが生まれて    ごめんなさい
ぼくを背負う    かあさんの
細いうなじに    ぼくは言う


ぼくさえ    生まれなかったら
かあさんの    しらがもなかったろうね


大きくなった     このぼくを
背負って歩く    悲しさも
「かたわな子だね」とふりかえる
つめたい視線に    泣くことも


ぼくさえ    生まれなかったら。



この詩は、山田康文さんが書かれた詩です。
山田康文さんは重度の脳性麻痺で肢体不自由、言葉を口にして、何かを伝えることは出来ません。
山田康文さんは15歳の生涯を力強く生き抜きました。


この母を思いやる切ないまでに美しい詩に
母親からも息子に詩を作ります。


わたしの息子よ    ゆるしてね
わたしの息子よ     ゆるしてね
このかあさんを     ゆるしておくれ
お前が脳性マヒと知ったとき
ああごめんなさいと    泣きました
いっぱい    いっぱい    泣きました
いつまでたっても    歩けない
お前を背負って    歩くとき
肩にくいこむ重さより
「歩きたかろうね」と    母心
重くはないと聞いてくる
あなたの心が    せつなくて


わたしの息子よ    ありがとう
ありがとう     息子よ
あなたのすがたを    見守って
お母さんは    生きていく
悲しいまでの    がんばりと
人をいたわる    ほほえみの
脳性マヒの     わが息子
そこに    あなたがいるかぎり。



このお母さんの気持ちを受け止めるように
康文君は先の詩に続く詩を作りました。



ありがとう    おかあさん
ありがとう    おかあさん
おかあさんが    いるかぎり
ぼくは    生きていくのです
脳性マヒを    生きていく
やさしさこそが    大切で
悲しさこそが    美しい
そんな    人の生き方を
教えてくれた    おかあさん
おかあさん
あなたがそこに    いるかぎり。



この詩を読んで
思うことはいっぱいあると思うので
あえて私の感想は書きません。


ただ
障害をもった人が
ごめんなさいねなんて思わないで済むような
世の中になるといいなと思います。