12月11日(土)に着床前検査(PGT-A)に関するある報道がなされました。毎日新聞デジタルには「不妊治療の「着床前検査」日本産科婦人科学会が容認 三つのケースに対象限定」という見出しで、その日の午後に行われた日本産科婦人科学会の理事会決定事項が報じられました。

これを読んだ読者で、不妊治療を受けていたりPGT-Aのことを知っていたりした人には少し奇異に感じられたかも知れません。というのは、すでに数年前から一部の不妊治療施設ではPGT-Aを行っており、PGT-Aでお子さんを産んでいる方も少なからずいるからです。「えっ!今までは認められていなかったの?」と驚いた人もいると思います。

PGT-Aは世界的にもまだ本当に有効なのかが分かっておらず、「命の選別」行為だとして倫理的な問題も解決されていないため、日本産科婦人科学会では「見解」という自主規制ルールでその実施を禁止していたのです。現在行われているPGT-Aは、禁止されている中でその有効性を確かめるための「特別臨床研究」なのです。例えは適当でないかも知れませんが、調査捕鯨のようなものです。

最近この臨床研究の中間報告がなされ、出産率を上げ流産率を下げることが分かりました。また、来年4月から不妊治療(体外受精胚移植)が保険適用となり、生殖医療が変革期を迎えようとする中、いよいよ「見解」で禁止しながら臨床研究の名の下にPGT-Aを行なってゆくことに無理があると考え、「見解」を改定してPGT-Aを容認することになったのです。

学会が見解を変えても、PGT-Aはこれまで同様に臨床研究として行われます。新聞報道にあるように、難治性不妊症や不育症に限定して行うという方針も変わりません。

ただ、PGT-Aに関してはいろいろな問題が指摘されていますので、それについては次回のブログで述べて行きたいと思います。

 

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