立川談志師匠の特番を聴いたら…

談志師匠の晩年の『やかん』

が出てきてビックリ!


演題の『やかん』とは

お湯を沸かす『やかん』です


『やかん』は

青山学院大学落語研究会に入って

初めて落語をやる時に

三年生の幹部から

このネタをやりなさいと言われて

初めてやった落語なのです


やかんは何故やかんと言うのか?

と聞かれた御隠居さんが

川中島の合戦の講談まで始めて

「矢が当たってカーンと言うから」という噺で

カセットテープでは

たくさんの笑いが起きていましたが

私がやっても

余り笑いが生まれないのでは?

と思いつつ

先輩から渡された

二代目 桂伸治さんのカセットテープを聴いて

速記本の台本を作り

テープを聴きながら台本を覚え

先輩に仕草を教えていただき

何とか

何も見ずに聞かずに

喋れる状況になったものの

先輩と対面で行った稽古では

途中で止まったりしてしまいましたが

何度か繰り返すうちに

合格点をいただき

老人ホームでの初高座となりました


もちろん

覚えた通りに演じるのが精一杯


ところが…


意外なことに

私は

ただ単に覚えた通りに喋っているだけなのに

結構お年寄りの皆さんが笑ってくれました


無事に終わってホッとしながら

「へ〜古典落語ってスゴいなぁ〜」と

めちゃめちゃ感心しました


まあ、私の初ネタになるぐらいですから

数ある落語の中では軽いネタなのです


もちろん談志師匠なりのアドリブ満載の

『やかん』になっていて

何故やかんと呼ばれたか?

は出てこないで終わってました


ですが

大変面白かったです

哲学的と言うか、ヘリクツ的というか

何せ、談志師匠の『やかん』です

こういった古典落語の柔軟性も楽しいものです


談志師匠と言えば

『らくだ』や『居残り左平次』など大ネタを

談志節で聴かせてくれる大御所でしたので

やはり晩年は御自身でも

しんどさを

感じておられたのではないでしょうか?

喉頭がんで75歳で亡くなられ

やかんの中でも

「途中で声が出なくなるかも」

とおっしゃってましたし…

まさに命がけの高座だったのかなあ?と

ラジオを聴きながら感じました


実は

おそらく35年前ぐらいだと思いますが

一度、談志師匠と仕事したんです


2時のワイドショーで

談志師匠の御自宅訪問のロケでした


お宅自体は

実に立派なお宅でしたが

部屋の中は

かなり雑然というか

ぐちゃぐちゃというか

色々なものが山積みにされてました


ロケでは

テンポの速い談志師匠の喋りに

全くついていかず

相槌を打つのが精一杯でした

 

ロケの合間に

ふと見つけたものがありまして


チラシの裏に細かい文字が

びっしり書かれていて

おそらく

落語のマクラに使うネタのメモ

だと思うのですが

ニュースに対する解釈などが書かれていて

名人上手と言われる方の裏側を拝見出来

スゴい宝物を見つけた気分でした


印象的だったのは…


談志師匠が料理をされていたこと


冷蔵庫は

全く整理整頓されていない食材が満杯

「人間は多少のものを食っても死にはしない」

と、古い食材を自慢されておりました


もうひとつは


植木等さんの色紙


映画『無責任シリーズ』の大ヒットで有名な

植木等さんですが

その色紙には

『責任を持て!』

と書かれておりました😅