今年初の劇場での映画鑑賞は『ドリーム・ホース』、実話が元の競馬の映画だ。

 

舞台は英国ウェールズの、とある小さな村。そこに暮らす一人の主婦が思い立ち、村人20人を集めて共同馬主になるという話。まず繁殖牝馬を買い、種付けをし、生まれた仔馬にドリームアライアンス(夢の同盟)と名付けた。まずはデビュー戦、スタート出遅れも4着のレースぶりに馬主の村人たちは大喜び。その後数戦は勝てないまでも好走を繰り返した後に障害戦で初勝利を挙げ、最終的にはウェールズ地区最大の障害レースに勝つことになる。

 

そんな物語を見ていて思うのは、さすが競馬発祥の国イギリス、日本では考えられないストーリーだ。決して裕福ではない村人たちが、お金を出し合って競走馬を持つなんていうことは、「競馬=ギャンブル」としか見られていない日本では決してあり得ない。競馬が文化として根付いているイギリスならでは、時々グリーンチャンネルでイギリスの競馬を見ることがあるが、映像から伝わる競馬場そしてパドックの雰囲気などは羨ましいばかりだ。そしてこの映画から伝わったのは、馬主であることの楽しさだろうか。馬主こそ最大のギャンブラーだという言葉をよく聞くが、それは一攫千金を目指してしまうから。動物が、馬が好きで、競馬が好きで分相応の馬を所有してレースに臨む。広い競馬場を走る愛馬が無事にゴールする、それだけでもハラハラドキドキの連続。この映画の村人たちにも、久しく忘れていたそんな感情を1頭の競走馬が思い出させてくれた。

 

決して大きなストーリーではないが、なんの予備知識がなくてもそれなりに楽しめる、決して競馬を知らなくても、十分感動できる作品だと思う。その爽やかさは、新年早々にピッタリ。