「馬券相性最悪」は、私にとってこのレースの枕詞になっている。その理由はわかっているつもりだ。馬券を決める際に、どうしても好き嫌いだったり、変なこだわりを優先させすぎているからだ。例えば、今年の出走予定馬を例にすると、シャフリヤールはPOG指名馬でダービー馬にもなった。そんな彼に対しては「ダービー馬には強くあり続けて欲しい」と願うし、3歳馬ダノンベルーガには「何しろダービーで本命にしたほどの馬だから」とG1の借りはG1でとばかりに大きな期待を寄せてしまう。ならば、そんなこだわり捨ててしまえばいいと言われそうだが、これまで30年以上も競馬をやってきた自負もあり、自分の頭の中から拭い去ることはできない。でも今年は、努めて冷静になって予想を組み立てたい。去年のダービー馬がいて、今年春3歳クラシック上位組が3頭も、さらにはレースの展開の鍵を握る実力古馬もいて、非常に面白いレースになりそうだからだ。一応「G1級古馬VS3歳クラシック上位組」という構図を決めて組み立てていきたい。

 

(古馬)

まずはG1馬3頭と、今年最大の上がり馬の計4頭を寸評する。

☆シャフリヤール

前走英国G1は5頭中4着、いくら馬場が合わなかったとはいえ正直物足りない。これまでの実績や血統背景からも軽い馬場の2000mはこの馬のベストかもしれない。昨春毎日杯大レコード勝ち、そしてダービーでの勝利は強烈に脳裏に焼き付いている。

☆ポタジェ

大阪杯でいきなりのG1勝ち、何もかもがこの馬向きだったということと、人気馬の腑に落ちない敗戦がピッタリはまった結果だった。パンパンの東京芝コースではややスピード不足だと思う。

☆パンサラッサ

今春のドバイターフ、同着とはいえ、逃げ切り勝ちは見事だった。古馬になってからの成績を振り返ると、逃げ馬特有の勝つか惨敗かという極端なものではないことがわかる。勝てないまでもギリギリ上位確保は、展開の利だけではなく、自身の脚力が確かなものだというだ。ただし、東京を逃げ切る映像が見えてこない。

☆ジャックドール

今年5連勝でG2金鯱賞制覇し、期待された大阪杯は5着敗退。勢いは止まったかに思えるも、前走札幌記念は好位からのレースで上述パンサラッサを差し切っている。東京コースとの相性も良く、速い逃げ馬の離れた2番手をマイペースで追走できるようなら面白い。

これら有力古馬4頭を順位づけすればシャフリヤール→ジャックドール→ポタジェ→パンサラッサということになろうか。

 

(3歳馬)

皐月賞馬と二冠連続2着馬そしてダービー1番人気馬、この3頭だけの決着を予想するだけでも楽しい。

☆ジオグリフ

敬意を表してタイトルホースから、ダービーの敗因は明らかに距離、皐月賞の勝ちっぷりからも2000mがギリギリだと思っている。近年マイラー寄りの馬たちの活躍も目立つだけに、あとは休み明けの状態と相手関係。ただ皐月賞の勝ちっぷりを見て、距離は同じでも、東京コースの方が尚更いいとは思わない。

☆イクイノックス

キャリア3戦目にして5ヶ月ぶりのレースが皐月賞、しかも大外枠から正攻法の競馬をして際どい待ち負けに持ち込めるほどの馬だとは思ってもいなかった。叩かれ2戦目のダービー制覇はその時点で決まったようなものだった。ところが、メンバー最速の脚で上がっても勝て

なかった。勝ち運がなかったのか、それともそういう馬だったのか?

☆ダノンベルーガ

皐月賞4着は最内枠から終始馬場の悪いところを走らされての4着、得意の東京コースならばとダービーでは1番人気に支持された。外差しの決まる馬場で、内から末脚不発の4着と、春は歯がゆいレースばかりだった。ここは東京コースで共同通信杯で見せた末脚で捲土重来に期待する。

3歳馬についてはイクイノックスが一番、そしてジオグリフ、ダノンベルーガの順。

 

さて、「古馬VS3歳馬」の世代レベル比較をして予想を結論付けることにする。今年の3歳馬トップクラスのレベルは、菊花賞のアスクビクターモアの勝ちっぷりを見る限りにおいて、高いと思う。そして牡牝ともに三冠最終戦の結果から、春の実績馬が順調に力を発揮しているように映る。ならばここに出てくる世代トップクラスの3頭ならば、古馬に簡単に跳ね返されるとは思わない。とはいえ、ここで古馬を破るには、強力先行馬を交わしたうえに、去年のダービー馬の猛追を凌ぎ切らなければならない。私にはそのシーンが見えてこない、どの馬も去年3歳でここを制したエフフォーリアよりも、少なくとも今の段階ではスケール的に劣って見えるからだ。今年は古馬優位と結論付ける。

 

(結論)

◎シャフリヤール

○ジャックドール

△ダノンベルーガ、イクイノックス

◎の根拠はやっぱり、ダービー馬は強くあって欲しい、結局は願望になってしまった。ただ、せっかくダービーで本命にしたのだからとこだわりたいダノンベルーガは冷静に3着までと印を落とした。印を回した4頭で、上位4番人気を占めるだろう。つまらない予想に見えるかもしれないが、自分なりに納得のできる根拠に基づいたものであり、何より好メンバーによる面白いレースだけに、おかしな結果にならないようにと願うばかりだ。馬券はまず◎○の組み合わせ、馬連か馬単を1点。さらに3連単は、◎→○→△2頭の2点。無茶振りしたくなるような面白い穴馬も見当たらず、大きく狂わないようにと願う。