「スポーツの中で最も偉大な2分間」と形容されるケンタッキーダービー、早起きをしてグリーンチャンネルのライブ中継を観戦した。ミントジュレップではなく、りんごジュースを傍に。

 

日本からUAEダービーを勝って出走権を得たクラウンプライドが出走し、JRAで馬券発売も行われた。私の予想は◎ホワイトアバリオ○エピセンター▲ゼンダン、印の通りの3連複馬券を買った。迷いに迷った挙句、決め手になったのは前哨戦の中で近年最も相性の良いレースがフロリダダービー、それだけを頼りに本命を打ったわけだが、全く当たる気はしなかった。

1着リッチストライク(レオン)

2着エピセンター(ロザリオ)

3着ゼンダン(プラ)

私の本命は16着、見せ場もつくれずの惨敗に終わった。

 

ただのG1ではなく、アメリカのクラシック初戦にして全米が熱狂する最大のレースでこんなことが起こるとは。何しろ勝ったリッチストライクは、1頭取り消しが出たために、繰り上がりで出走が叶った補欠馬で、大外枠からの発走では20頭中19番人気も仕方ない。ライブ映像だけでは、この馬がどんなレースをしたのかは全くわからなかった。全く気にしていなかったからだ。大外からそっとスタートし、ポジションを取りに行かず、最後方から中に切れ込み、進路を内に取った。そのまま大きな動きはせず、4つのコーナーを回るうち、直線入り口では中団前めの最内と、距離ロス最小限のレース運びをした。直線、エピセンターとゼンダンが先に抜け出しての叩き合い、エピセンターがそれを制したところ、その内からブービー人気馬リッチストライクが鋭伸、一気に抜き去り先頭ゴールイン、歴史的ロングショットが決まった。その瞬間、ギャロップダイナにシンボリルドルフが差し切られた秋の天皇賞のゴールシーンが頭に浮かび、その決着にしばし呆然。

 

もちろん馬が主役であることは間違いない。これだけの大仕事、もちろん出来の良さがあればこそだと思う。それにプラス、レオン騎手の好騎乗が光った。彼はケンタッキーダービー初騎乗だったという、急遽の出走にも慌てず準備は万端だった。スタートしてからのコース取りは見事だったし、道中は距離ロスなく回ることを最優先、クレバーで冷静な騎乗だったと思う。ゴール前では、前を伸びあぐねている馬を交わす時、馬にほとんど真横を向かせるように、一瞬にして外へ出した、その思い切りの良さも人気がなかったからかもしれないが、日本人騎手のあんな所作はあまり見たことがない。やることなすこと全てに恵まれる運の良さによる勝利ではなく、理詰めの騎乗をして勝つべくして勝ったように思う。

 

血統的にもダービー向き?などと現地でも話題になっていた日本馬クラウンプライドは、先行し、一旦先頭などというシーンもあったが、結果は13着。まだキャリア浅い3歳春の時点では、アメリカのスピードの出やすいダートコースは日本馬には厳しいのだろう。昔やっていたゲーム「ウイニングポスト」の中でも、ケンタッキーダービーは勝てず終いだった。でももし、エルコンドルパサーだったら?などと考えている。日本馬にはこれからも挑戦を続けて欲しいものだ。

 

凱旋門賞もいいけど、主要な馬産地ケンタッキーで行われるこのレースの雰囲気の方が、どことなく競馬イベントらしくていい、もちろん映像を見る限りだが。ミントジュレップ片手に、「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム」を観客全員で大合唱、一度はその中に身を置いてみたいものだ。