やっぱりマスターズは春がいい、そしてコースのあちこちからパトロンの歓声やため息が聞こえた方がいい。3年ぶりの平常開催、その上位グループに松山英樹がディフェンディングチャンピオンとして名を連ねている、史上4人目の連覇という快挙を目の当たりにできるかもしれない。決勝ラウンドは多少無理をしてでも、できるだけ多くの時間テレビ観戦したいと思う。

 

まずは2日間トータル8アンダー、2位以下に5打差の首位に立ったスコッティ・シェフラー。今年ツアー初優勝後、短期間で3勝を上げ世界ランク1位と今が旬、絶好調のままオーガスタに乗り込んできた。勢いだけではなく、データ的にもシュアなゴルフを展開、一般のトーナメントならほぼ優勝は堅いとさえ思う。が、ここは最高のゲーム「マスターズ」、あと2ラウンド、そう簡単には事は運ばない。土曜日曜のラウンドは、オーガスタナショナルの起伏に呑まれ、いくつかの勝負のヤマを乗り越えねばならない。ただ平常心で臨めるなら、グリーンも例年ほど硬く速くなさそうだし、案外あっさりということも考えられる。しかし、彼には申し訳ないが、そんな淡白な優勝シーンなど早朝から見たくはない。

 

そして首位から5打差の2位タイに付けた松山英樹、史上4人目の連覇を見通せるポジションでの決勝進出はチャンピオンにふさわしいゴルフをしていると思う。首を痛めて試合から遠ざかっていたにも関わらずにこの成績、ややオカルトチックな話になるが、なんだかサムシングスペシャルな力に後押しされているようでもある。昔から思っていたことだが、ツアーでは不調が伝えられていたり、どこかに故障があったり、だけどここに来るといいゴルフができる。そんな場面を何度も見ている。今の松山もまさしくその状態、マスターズチャンピオンとして、オーガスタナショナルの会員として認められ、愛されているプレイヤーになったということだろう。そんな松山の今年のプレーぶりを見ていると、おそらく一度勝ったからだとは思うが、夢見てフワフワしていることはなく、すごく落ち着いて淡々としているように見える。ビッグスコアが出せないようにも映るが、容易には崩れないと思う。上が伸び悩むようなら、連覇も夢ではない。

 

予選2ラウンドを終えた時点で優勝争いを予想してみる。現在首位のスコッティ•シェフラーが優勝には近いとは思うが、松山英樹、カール・シュワルツェル、ダスティン・ジョンソンといった過去のチャンピオンとの5〜6打差はあってないようなもの。さらに7打差のジャスティン・トーマスあたりまでは優勝圏内にいると思った方がいい。あと第3ラウンドで、ローリー•マキロイあたりが63とか64というビッグストアを出せばさらに面白くなる。そして最終的には、もちろんより多くのバーディーも必要になるが、ミスを最小限に抑えた者にグリーンジャケットが贈られるのだろう。4日間通して、ダボ以上の大叩きがないこと、そしてアーメンコーナーでの連続ボギーがないこと、私はいつもそれを目安に優勝争いを楽しんでいる。

 

最後に願望も込めた私の優勝予想。

◎松山英樹

◯ジャスティン・トーマス

▲スコッティ•シェフラー

優勝スコアは10アンダー前後、松山にはツアーでの直接対決で相性の悪いトーマスにこの舞台で勝ってもらいたい。いずれにせよ、2打差くらいの間に複数選手がひしめく濃密な展開を期待する。

 

必ずしも日本人選手の活躍を見たいわけではないが、優勝の可能性を感じることができれば、応援しながらのテレビ観戦ということになる。