つい先日、暇つぶしに入ったDVDショップで、目に留まった。手に取れば、1983年作品とある。政治にも興味があって、映画もよく観ていた時期だったのだが、すっかり見落としていた。

早速購入し、DVDをセットした。

 

原作はもちろん、この映画も史実を基に、登場人物もすべて実名である。終戦〜講和条約締結〜55年保守合同までが描かれているわけだが、それを2時間余りにまとめるのは、やっぱり無理なようだ。映画というより、長めのニュースフィルムを見ているように感じた。

 

原作が大きすぎる日本映画は、そのほとんどが「超豪華キャストで描く」をウリにする。この作品も例外ではない、ところがその名優たちの見せ場が少なく、せっかくの群像ドラマが薄味になってしまう。森繁久弥の吉田茂VS芦田伸介の鳩山一郎と若山富三郎の三木武吉、この政争だけでも十分作品として成立するであろうに、もったいない。吉田や鳩山、池田、佐藤などは誰もが知っている。ところが、鳩山政権誕生の裏で暗躍する三木武吉については、よほどの政治フリークでもなければ知らないはずだ。かくいう私も、父親から聞かされた話しか知らない。緒方竹虎についてもそうだし、若き田中角栄だってもっと出番があったはずだ。

 

ノンフィクションに近い政治を映画にするならば、それを製作する時代によってシナリオも違ったものになるだろう。この映画が作られたのは昭和60年、だから単なるエンターテインメントになってしまった。もし、今それを描くとすれば、現代の政治家と照らして昔の政治家はこうだった、そんな描き方になるんじゃないだろうか。

 

『小説吉田学校』、一度じっくり読んでみよう、特に「角福戦争」と呼ばれた佐藤栄作退陣後のドラマを。