北岡伸一、野中郁次郎共著「智徳国家のリーダーシップ」を読みました。明治維新と戦後復興という2つの時代を取り上げ対談形式でまとめられた内容です。対談形式のためやや内容が軽い印象もありますがお二人の叡智から繰り広げられる内容は大変勉強になりました。
8人のケーススタディ(大久保利通、渋沢栄一、伊藤博文、益田孝、吉田茂、本田宗一郎、中曽根康弘、稲盛和夫)から変革期におけるリーダーシップをお互いに語っています。
そして最終章にて「智徳のリーダーシップ」についてまとめられています。最終章ではいくつか印象に残る議論がありました。
・「身体知」の復権。今はデジタルばかりが言われどちらかというと形式知とか分析知といったものが過剰になっている感があります。しかし実は身体とマインドというのは相互補完お関係にあり、エンボディーマインド「身体化された心」というものが非常に重要な概念として対応。
・福沢諭吉は「知」「徳」を議論していたが、特に公徳と公知が必要だといっていた。
・智徳のリーダーは身体で考え実践する知的体育会系と表現できるリーダーです。我々(野中)はそうした知的体育会系の人間を知的バーバリアン(野蛮人)と呼んでいる。(中略)知的バーバリアンの特徴を整理すると以下の通り。
1.初めに「思い」ありき
2.「出会い」のダイナミック・ペア
3.身体で考え直感する
4.「書く」ことで内省し意味を創造する
5.「戦い」の本質を見抜く
6.「いま・ここ」にかける
7.したたかに執拗にやり抜く(GRIT)
8.人材の適時適材適所を貫く
尚、「書く」ことの補足でNSAMで学んだハーバードビジネススクール バダラッコ教授が紹介(省察:書くことで知識創造の源泉を暗黙ちに求めて、自らの内面を対話し新しい意味との出会いを発掘する)されていたのは驚きでした。彼の「静かなリーダーシップ」は購入しサインもらいましたが内容は忘れました(笑)、再度読み直してみたいと思います。
本書はあらゆる立場でリーダーを務める、そしてリーダーを目指す方にお勧めします。