株式会社ブレークスルーからのプレゼント「緊急復刻版 新大前研一レポート」を送付頂き読み終わりました。本書は1993年出版、私は1996年から1年間大前氏がファウンダーである一新塾三期入学、日本の課題について勉強しました。当時の様子を思い出し懐かしく思うとともに本質的な課題が解決されていない状況を憂慮し再認識しました。しかし、憂慮しているだけでは何も変わりません。生活者主権の日本を作るため、本書から学んだことを行動に繋げていきたいと思います。

 

本書では冒頭に新章「コロナ禍で露呈した行政の問題とあるべき姿」が加えられており、以下4つの提言がなされています。

提言①国民全員がIDを持ち一元的に管理するコモンデータベースの構築

提言②コモンデータベースを委ねる厳正中立な第四権「人権府」の設置

提言③国民目線で行政サービスを統合したデジタルガバメントの構築

提言④最先端の知識を持つ民間のIT技術者を閣僚に抜擢

提言⑤「スーパーシティ構想」の展開

 

また菅内閣で進めようとしているデジタル化の問題点として以下が上げられています。

1.デジタル担当大臣が専門家ではない

2.マイナンバー制度を見直さないまま利用範囲を広げようとしている

3.ハンコの廃止だけを進めようとしている

4.デジタルガバメントの全体像が見えていない

5.デジタル時代に向けての「教育」の方針が打ち出されていない

 

激変する今の状況と本書での勉強を掛け合わせないといけないですね。今回印象に残り、そして一新塾当時の議論が思い出されたのは特に「規制緩和(ディレギュレーション)」についてです。以下引用します。

 

細川内閣(当時)はレーガンやサッチャーがやった規制緩和がどのようなものだったか、まったくご存じないのだ。アメリカではレーガンの就任した81年以前の40年間にわたって新規参入がゼロであった航空業界で規制緩和によって215もの新しい航空会社が参入してきたのである。しかもそのうち3分の2は既に倒産している。また古くからあった会社の実に56%が倒産に追い込まれている。実質的には航空会社が3社しかなく参入の自由もなく運賃さえ区間ごとに許認可と官営とまったく違わない日本の航空業界にアメリカで用いられている「規制緩和」という言葉を使って説明できるような要素は何一つみつからない。機内食についてさえ業界申し合わせで競争を制限している国なのである。しかし、アメリカで生き残った会社は世界的にみればメチャクチャに強くなり、今やアメリカン、ユナイテッドなどのコストは同じくビックバン(規制緩和)のあったイギリスの英国航空と共にグローバル化に大きく乗り出している。

 

規制緩和(ディレギュレーション)というのは大きな犠牲を伴う。イギリスとアメリカがこれに先行しドイツや日本がこれをさぼった。(中略)レーガン流の規制緩和をやれば当面日本は失業大国になることが目に見えている。地価や株価が暴落することは避けられない。だからこそ生き残ったところはいやが上にも強くなっており国際的にも通用するものになるはずなのだ。また市場価格の形成プロセスについても透明性が高まり生活費は今より大幅に下がっているだろう。生活費の中に社会福祉の費用が幾重にも織り込まれたような日本の価格形成の良し悪しを本格的に議論することなく(心の準備もできていないのに)規制緩和を軽々には論じられないのである。

 

引用を終わります。

 

生活者主権、21世紀型の社会を作り上げるためには規制緩和を断行し古い企業から人を出すこと、競争力が無い企業自体を市場から出すこと、結果失業が一時的に増える「深い谷」が必ずやってきます。そしてそれを乗り越えないといけないのです。

 

Do What You Can Do.

 

私が出来ることを一歩一歩積み上げていくこと、一人一人の市民が出来ることを続けます。