野村克也著「なぜか結果を出す人の理由」を読みました。亡くなられた名将野村さんの著書は過去にも読んだ記憶がありましたが、特に記憶に残っている本はありませんでした。今回改めて本書を読み、野村氏が名将と呼ばれる理由がわかった気がしました。

 

印象に残ったのは以下三点です。

 

1.「この人のためにがんばろう」と思われる人が大きな結果を出す

田中将大というピッチャーの信じられないような連勝記録は「田中のためにがんばろう」というチームメイトの強い思いがプレーとなって現れた結果でもある。いわば、チーム内のムードが戦力より高めた結果の勝利。つまり、一種の無形の力がマー君の周りに働き、チームが勝つ。これは、「この人のためにがんばろう」と周囲に思われる人間か、そう思われない人間か、それによって、その人自身が結果が変わってくるということを示していると言えるだろう。その人の思いや姿勢が周囲を巻き込んで大きな力になり、1+1が2では終わらず、5にも10にもなって戦力を高めていくのだ。そこには組織力を高めるために不可欠な信頼感というものがある。(中略)その信頼感があるおかげで、一人一人の心の中から余計な不安が消え、自信が生まれる。それが良いプレーにつながる。だから点を取られてもあきらめることなく勝利を信じてプレーに集中し、逆転勝ちを収めることができるというわけだ。

 

2.感じる力

一生懸命に努力しているのに、なかなか結果が出ない人と、努力が報われている人の差は何か。それは、感じる力である。その人が何ができたりできなかったりということは、その人がまず何をどう感じるかということしか始まらない。人は感じるから考える。そして、考えた通りに行う。感じて、考えて、行う。それが人間の行動の仕組みの原理原則だ。感じる力、つまり感性。人間の最大の武器は感性。そして、人間の最大の悪とは何か。それは鈍感である。

 

3.己を知ること

プロフェッショナルが自分の身一つで生きていくためには、何と言っても己を知ることが必要だ。今の自分には何が足りないのか、どこが弱いのか。どこを磨けばいいのか。それを常に正しく認識できるかどうかが勝負だ。そのためには、自分の課題について感じたり、考えたりする習慣を身に付けて、感知するセンス、感性を磨いていくしかない。そうやって自分の課題がわかったら、それを補い、克服するための方法論を必死に考える。プロとは、その繰り返しなのである。

 

引用を終わります。

 

「最大の悪は鈍感である」は私自身にとって大変耳が痛い文章でした。しかし、感じることはコンピューターには出来ません、人間にとって一番大切なものは感性であるという言葉は、シンギュラリティを控えた私たち人間にとって改めて大切な言葉と思います。

 

人は亡くなられても言葉は生き続けます、私は野村氏からまだまだ学び続けたいと思います。