今週、池江選手が白血病になられたニュースは私にとっても衝撃でした。闘病生活を今までの水泳練習同様乗り越え、復活される日を心から祈っています。

 

息子は池江選手と同い年、全国中学競泳大会では同じ東京都代表チームのメンバーでした。もちろん、当時から池江選手はダントツのスター選手、近くで姿を見かけた時もまぶしく輝いていました。息子は水泳を高2で引退しましたので、東京オリンピックでは同い年の池江選手の活躍を応援しようとずっと思っていました。なのでニュースに接した時は言葉が出ませんでした。

白血病になられた患者の方の治療法の一つが骨髄移植です。私はドナー登録を行い、2011年実際に骨髄提供を行う機会に恵まれました。8年前のことですが、自分の行動が一人の方の命を救うことが出来た感動的な体験は今でも忘れることがありません。「命を救う究極のボランティア」などと言われることもありますが、そんな大それたことではなく、健康な方であれば誰でも出来ることです。

...

ドナー登録は献血の時に合わせて簡単に出来ます。もし、今回のニュースに触れ、自分に何か出来ることと考えられた方がいらっしゃいましたら、是非まず登録して下さい。

 

尚、提供直後に体験記を書いておりました。以下少々長いですが実際の手術の様子を紹介します。実際の提供時を知って頂いた上で、ドナー登録という一歩を踏み出して頂けますこと、強く願っています。皆様の行動が人の命を救うことに繋がるのです。

 

ドナー登録を宜しくお願いします。

以下、体験記を紹介します。

 

第一回:入院と手術前日。

病院に朝十時前に到着、入院手続きを行いました。入院手続き専用カウンターがあり、順番待ちの札を取ると五十五番でした。私の後にも手続き待ちの方がいらっしゃいましたので、六十名の方が毎日入院をされ、そして退院されているのでした。そして、病室へ行き入院しました。病室は四人部屋、私以外は皆様患者さまでした。皆様に簡単に挨拶は行いましたが、それだけに留めました。健康な身体で入院するということは普通はあり得ませんので、とても不思議な感覚でした。手術前日は、採血、麻酔説明会がありましたが作業としてはその程度でした。しかし、実際に入院すると不安はよぎります。しかし、担当医師三名、麻酔科医一名はそれぞれわざわざ病室まで来て下さり、挨拶、手術の説明をして下さったので、少し安心することが出来ました。説明では予定通り三泊四日、手術は二日目の朝九時から十二時くらいまで、その日は絶対安静とのことでした。

六時に夕食、九時消灯が病院のスケジュールです。さすがに九時にはすぐ眠ることが出来ませんでしたが、十時過ぎには電灯を消し、眠りに落ちました。

 

第二回:手術当日

手術当日は五時に目が覚めました。手術前は何も食べられませんので、八時半までにやることをやり、後は手術着に着替えるだけです。今回は健康な状態で手術を受けますので、過度な心配は不要でしたが、それでも全身麻酔で手術を受けるというのは不安もよぎります。お守り代わりに青春の全てをかけたラグビーのマスコットを持参し、ベットの横に飾っておきました。

八時五十分過ぎに看護師の方が病室に呼びに来て、エレベーターと歩いて手術室まで向かいました。手術室前で呼び出しを行い、待ちました。集中手術室に入るドアが開き、ストレッチャーが準備されていました。名前を確認し、ストレッチャーの上に仰向けに横になりました。後は手術室へ向かう廊下の電灯が目に入るだけです、そして病室へ入りました。

病室でも仰向けのままです、病室の様子はドラマに出てくるそのものでした。明るい電灯、手術の機械、手術スタイルに着替えた医師と看護師の皆様、緊張感が高まります。点滴を入れ、麻酔医のY先生から「不安はありますか?」と声をかけられ「Y先生が診ていて下さるから、心配ありません」と気合で答えた後は麻酔が効き記憶が無くなりました。

次に意識が戻ったとは手術が終わっていました。意識が朦朧とする中病室に戻り、医師と会話をしながらも麻酔がまだ効いており眠りに落ちました。しっかりと意識が戻ったのは午後一時過ぎくらいだったと思います。手術室に九時過ぎに入り、十一時過ぎには病室に戻ることが出来ていたとのことでした。患部に痛みはありませんが、術後は絶対安静なので、横を向くことも出来ません。また、尿道にカテーテルが入っていましたので、小水も勝手に排出されました。二時間経過し足を立てて良くなり、六時間経過後酸素マスクが外れ水を口にすることが出来ました。患部を医師に診て頂きましたが、特に出血等もない状態と診断頂きましたので、安心することが出来ました。

手術当日は食事を取ることが出来ませんので、点滴を入れたまま一晩過ごしました。夜中も看護師の方が数回血圧を測って頂き、また点滴の状況を確認頂きました。改めて人の命をサポート頂く仕事の尊さを強く感じました。

 

第三回:手術翌日

手術当日はベッドの上から動けず、食事を取れず、点滴・カテーテルと身体が繋がれたままで非常に不便に過ごしました。しかし、翌朝、医師に傷口を見ていただき特におかしい点がありませんでしたので、点滴とカテーテルを取って頂いた後は、普通の生活に戻りました。

改めて、身体を動かせること、食事を取れること、トイレに行けること、歩くことがどれだけ幸せなことか再認識することが出来ました。

その日は一日病院で過ごし、そして四日目の朝、看護師、医師の皆さんに簡単に状況を確認頂いた上で退院することが出来ました。

今回は、自分が健康であり、四日間で退院することがわかっており、不安はあったものの手術を受けそして無事退院することが出来ました。しかし、忘れてはいけないことは以下三点です。

1.今日もたくさんの方が入院を続けられ、そして手術を待っていらっしゃること。

2.毎日たくさんの方が手術を受けられていること。

3.医師と看護師の皆さんが時間を問わず日夜人命を救うために働いて下さっていること。

私が今回骨髄を提供することが出来たもの、たくさんの皆様の助けがあってのお陰です。世の中は決して一人では生きていけないのです。また、私が特別なことをしたとも思っていません。小さな行動が積み重なって出来たことです、これは誰にでも出来ることなのです。

半年前までは「骨髄提供」など自分には全く関係ないことでした、しかし、このようなことで「人のために出来ること」があることを実体験しました。そして、このことを一人でも多くの方に知っていただき、一人でも多くの方が小さな行動(献血、骨髄ドナー登録等)をして頂けましたら幸せに思います。

「思考は現実化する」の中に黄金律とは、次のように定義されていました。

「自分がして欲しいと思うことは、何よりもまず他人にそうしてあげることだ」

ここで大切なことは、まず自らが行動することだと思っています。私はこれからも行動を続けたいと思います。
ありがとうございました。