猿谷要著「物語 アメリカの歴史 超大国の行方」を読みました。本書は1991年に書かれた本ですが、コロンブスからレーガン時代まで総括し、よくまとめられた内容となっています。また、筆者自身が全米を動きまわった経験からのエピソードも随所にちりばめられており、「アメリカ史入門編」に最適の一冊でした。

印象に残ったのは、次の二つの文章でした。

1.「あの人は何が出来るのか?と聞く国」
ベンジャミン・フランクリン(米国建国の祖父と言われる)は1782年にアメリカのことをこう書いている。「ヨーロッパでは名門は価値があるが、この商品を運ぶのにアメリカほど不利な市場はどこにもない。アメリカでは他人のことを”あの人はどういう身分か?”とは聞かないで”あの人は何が出来るのか?”と聞くのである。その人に有用な技能があれば歓迎されるし、それをやってうまく出来れば、彼を知る者から尊敬される。だが、ただ家柄がよいというだけの人が、そのためだけの理由で、何か官職か俸給を得て、社会に寄食しようとすれば、軽蔑され、無視されるであろう。」

2.「新しいものを受け入れるのがアメリカ人」
同じく1782年にアメリカ各地を回ったフランス人クレヴェールは「アメリカ人とは何者か?」と自ら問いかけ、次のように答えている。「ヨーロッパ人でもなければヨーロッパ人の子孫でもありません。したがって、他のどこの国にも見られない不思議な混血です。(中略)偏見も生活様式も、昔のものはすべて放棄し、新しいものは、自分の受け入れてきた新しい生活様式、自分の従う新しい政府、自分の持っている新しい地位などから受け取ってゆく、そういう人がアメリカ人なのです。」

引用を終わります。

私はアメリカとは今まで直接の接点はほとんどありませんでした。しかし、これから少し接触がありそうです。また、NSAMではHBS・アメリカから教育を受けました。「新しいことを創造する」「開拓者精神(Frontier Spirits)」「多様性」、こんなキーワードから、アメリカをもう少し勉強していきたいと思います。