不惑のMBA格闘日記 "Problem Solver's Challenging Diary"-111123浜



2011/11/22

グローバル経営カンファレンス基調講演 メモ

1. 概要

(1) 日時・場所:11/21(月)13:0014:00、品川コクヨホール

(2) 主催者・参加者:プロティビティ、約300

(3) 講演者:浜矩子(同志社大学大学院教授、エコノミスト)

(4) テーマ:「グローバル・ジャングルの今日、明日からの挑戦にどう答えるか」

2. 講演骨子

(1) 財政恐慌

財政恐慌とは経済のショック死である、欧州では財政恐慌の動きが連鎖し、いつドイツを巻き込むかという状況までいっている。アメリカ、日本も事実上国家破産の状態である。日本は身内(国民)なら借金を返せとは言わないと開き直っている状態である。財政は本来レスキュー隊(企業が危険担った助ける)

であるが、レスキュー隊事態をレスキュー出来ない財政恐慌は「地球は一つだが、国は多数」という矛盾から起きている現象である。「財政恐慌」→「金融危機(恐慌)」→「資本注入」→「財政恐慌」という負のサイクルから簡単に逃れることは出来ない。

(2) ドングリ戦争

グローバル時代はドングリの背比べ時代である。今までの歴史は覇権国があった(パックスロマーナ→ブリタニカ→アメリカーナ)が、今はそれが無くなった。それは覇権国がなく、ドングリの背比べということである。中国が覇権国になるという意見があるが、私はそうは思わない。なぜなら、従来の覇権国は自国の企業が自国で工場を作り工業化に成功し覇権国となった。しかし、今は世界が中国を工場化しているためである。ドングリ戦争とはドングリ達のつぶし合いであり、TPPも自由排他協定と言える。

(3) 1$=50円時代

1$=50円にならないとグローバル経済が均衡しない、地球経済をバランス・均衡化させ、是正するための相場が1$=50円である。円高は大変であるというのが一般的な認識であるが、それは為替だけが変わり他の条件が何も変わらないという暗黙の前提である。それなりの時間をかけ、ソフトランディングの方策を探り、他の条件が変わっていけば1$=50円には十分対応出来る。決済も、円建て、人民元建て、ユーロ建てにシフトしていく、世界がドルを欲していないのである。1$=360円の時、1ポンドは1008円であった、1008円のポンドが現在120円になったが特に問題無い。現在1$=77円が50円になっても対応出来る。

3. どう答えるか?

1930年代もドングリ戦争→通貨戦争→消耗戦→戦争に繋がっていった、次は永遠の暗闇である。これをどう回避すべきか?私は「国富論を越えていく」ことだと考える、具体的には「僕富論(ぼくふろん)から君富論(きみふろん)」である。「自分さえ良ければ良い時代」から「あなたが富まないといけない時代」へ移る必要がある。例えば、米国人が全員「By AmericanからBy Japanese」「トヨタの社員が全員日産車に乗る」ということである。「情けは人のためならず」の世界を作らなくてはいけない。

今ここにいる人は「まさかそのようなことが起きるはずはない」と思っているだろうが、歴史の教訓は「まさかは必ず起こる」である。タイタニック号、南アのアパルトヘイト、アラブの春、日本では言えば「想定外のこと」はこれからも必ず起こる。今日この場にいらっしゃる一人一人が是非「君富論」の伝道師となってこの考えを広げて欲しい。

以 上